後日譚単話 ウサギさん
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。短いですが、うさぎ年なので……。
私は世界樹に寄り添って夢を見る。
世界樹の若木が見ているこの世界のこと。そして他の世界のこと……。
この世界では大きな破壊が起きて、人々は人族も亜人種も関係なく若木の恩恵を分け合い、力を合わせて暮らしている。
偶にその恩恵を我が物にしようとする種族が現れたりもするけど、〝女神〟が事を収める必要もない。
人々は自分たちの愚かさを知り、世界が自分たちだけの物でないと気付いた。だから問題が起きたとき、再び災厄が起こることを恐れて協力して問題に当たっていた。
そして、この世界は人だけのものではない。
問題が起きれば、魔物や幻獣……竜がこの世界の脅威として欲ある者たちに立ち塞がり、世界樹とこの世界を守護してくれている。
だから私は微睡みの中で夢を見る。
この世界に住む者たちが対処できない巨悪が現れるまで。
世界樹を通じて、他の世界から救いを求められるまで……。
でも……。
「……ん?」
微睡む私の肩を〝夢〟の中で揺さぶる者がいた。
「どうしたの?」
世界樹の内部世界には私の〝家族〟である99人の魂がいる。
策略の中で命を落とした子どもたちは若木の魂となった。若木として現地の様子を楽しんでいる者や、異世界に通じてその情報を見ている者もいるから、全員がここにいるわけでないけれど、多くの魂がこの場に集まっていた。
だからこうして、暇になった元が幼い子どもの魂は、私に遊んでほしいとせがんでくることがある。
今回私を起こしに来たのは、見た目が十歳くらいの最年少の子たち、三人だった。
この間まで子猫の画像や動画を集めていたから、また若木の近くで動物の赤ちゃんでも産まれたのかな?
その三人の中で、真っ黒の髪をしたゆったりとした民族衣装を着ている女の子が、私の膝に乗るようにして空間に映像を映す。
「これって……地球?」
私たち全員の故郷……。良い思い出は何もないところだけど、それでも愛であろうと憎しみであろうと忘れられない場所だった。
その映像に見える景色は私が知らない場所みたい。皆が女の子と同じ黒髪のアジア人だったので東アジアの国だろう。皆が厚着をしているので季節は冬のようだけど、随分と活気があった。
「ここがどうしたの?」
私がそう訊ねると、黒髪の女の子はカードのような紙を取り出した。
その国では冬になると友人たちにカードを送る風習があるみたい。クリスマスのメッセージカードのような物かな? 少し大きめだけど。
「これを作りたいの?」
私の言葉に三人の子たちが満面の笑みで頷き、黒髪の子が私に膝から離れると、他の子たちが古びた写真機のような物を取り出した。
『シェディ、笑って』
「……え?」
パシャ。
……どうやら今年はうさぎ年みたいです。




