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こちら陽気なたんぽぽ荘 ~大家と店子の家賃戦争~  作者: かきくけ虎龍
第一部 たんぽぽ荘の家賃徴収人のお仕事編
60/162

絆・・・再びの巻

遅くなりましたが、皆さま

あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。

「うううっ・・・ん」


 目が覚めた。

 はっきりと意識が覚醒していく。

 まだ生きている・・・僕はまだ死んでないんだ。

 そんな絶望感が心を侵食する。


 ここは何処、瞼を開けると天井の藁吹屋根が飛び込んでくる。

 縄文時代なのですか?

 そんなキーワードが思考の中でピンボールする。

 そして僕は石畳の上に寝かされていた。

 ゴツゴツしすぎやん、もしかして三途の川らでは!? と思いつつ寝返りをうつと背中に圧迫する痛みが走る。


「あやや、やっと起きたのですか! もうもうとっても寝坊助さんですーっ。もう少しうちをほっといて寝ていたら金玉を伸ばし棒で一反もめんぐらいペラペラにする実刑が確定でしたのに」


「なんで口元にヨダレたらしているのですかーっ!?」


「むひゃーっ、ヨダレは乙女の嗜みなのです」


「嘘つけ!」


「むむむっ、ビックリなのです。うちの姿が見える上にハイセンスレボリューションなうちの言葉を的確に返してきやがるのです、その上、シンクロしたタツノオトシゴぐらい息がぴったりなのですーっ!」


 140センチ弱の小柄で日本人形のように容姿。

 腰元まで伸びた黒髪。

 体型は残念なほどスレンダー、もはや幼児体型を極めてしまっている。

 貧乏丸出しのボロボロでくたびれた衣服。

 シルクだ・・・間違いないその愛らしさ(変態)はシルクだ。


「喜びやがれなのです! うちの大切なおウチに入れてあげたのですーっ。感謝しやがれです、男に初めてを奪われた気分なのです……もう、責任をとってうちの婿になるのですーっ!」


「……いいよ」


「うへへーっ、こいつ、簡単に受け入れやがったのです、わかっているのですか? うちは赤貧の神で貧乏まっしぐらな上に所持金が86円しかない不幸自慢のプリティな乙女なのに」


「今なら言えるよ……それでもシルクを愛しているから」


「あいあい愛愛愛ーっしていますって! 初めましてで結婚なのですーっ……待って、待って欲しいのです。心の準備がまだまだモンガー的なのです」


 頬に手を当てて、はうはうーっと奇声を発するシルク……可愛いお顔も真っ赤だ。


「知り合いの小豆とぎに『ハニワ何体持ってるの?』と聞かれて、突然、車にひかれた並の出会い頭の事故の保険金ぐらいの衝撃的なことなのですーっ、と、とりあえずはお手手を繋ぐお友達なのからです」


 あの時と一緒だ……過去に僕が出逢ったシルクと……。


 体中が痛くて、こんなにしんどいのに……僕は不思議と笑みがこぼれる。


「おおーん、お友達になるよりも良いことが浮かんだのです! 特別出血サービスなのです、知り合いのコガネムシ君の出血した痔よりも出血サービスなのですーっ、心して聞いてビックリしやがれなのです!」


 大きく息を吐いたシルクは僕をググーっと見つめる。

 その瞳は真剣そのものだ、すごく澄んでいて、とても綺麗で。


 僕の手にシルクの小さな手が重なる。

 暖かくて、切なくなって……そして、とっても臭いです。


 その臭さが懐かしくて、僕はシルクが紡ぐ次の言葉に耳を傾ける。


「今日からうちの兄さまになるのです!」


 この言葉が僕とシルクの最初の絆。

 僕にとって忘れられない……初めての家族が出来た瞬間だったのだから。


今年も頑張って執筆していく所存です。

皆さま、暖かく見守っていただけましたらとても嬉しいです。

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