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月見草の令嬢は王宮庭園で花開く  作者: 海老川ピコ
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第18話:フィンのドジっ子挑戦

 新月の夜、ルナと星空を見ながら交わした約束で、癒しの夢がまた強くなった。

 月見草の香りで王都の皆を笑顔にしたい。

 月影の庭でいつものように茶会を準備していたら、フィンが「庭仕事を手伝う!」と言ってやってくる予定になっている。

 子供らしい無邪気さにドキドキしつつ、月見草の光で彼の笑顔を守りたい。

 ルナのキラキラと一緒に、楽しい夜にしよう。

 私は小さな木のテーブルに月見草のハーブティーとポーションの小瓶を並べ、花壇を見た。

 月見草がキラキラと輝き、夜光蝶がふわふわと舞う。

 フクロウの「ホウ、ホウ」が遠くから響き、庭は幻想的なオアシスだ。

 私は花びらに触れ、指先がふわりと光る。

 ルナがふわっと現れ、銀色の髪が月光に揺れ、白いドレスがキラキラ輝く。


「姉貴、ちび王子が来るって? めっちゃ騒がしくなりそう。私の月見草、荒らされないよね?」


 ルナはジトッと目を細め、夜光蝶を指さした。

 私は微笑み、ティーポットを整えた。


「ルナ、心配性だね。フィンは無邪気だから、きっと月見草を気に入るよ。一緒に庭仕事、楽しくなるかも」

「ふっふー、姉貴、楽観的すぎ。子供ってドジっ子多いからさ。ま、私の光でキラキラカバーしてやるよ」


 ルナはくるりと空中で一回転し、指をパチンと鳴らした。

 月見草の光が強まり、甘い香りが庭に広がる。

 夜光蝶がキラキラと舞い、フクロウの鳴き声が雰囲気を深める。

 私はポーションの小瓶を手に、胸をドキドキさせた。

 その時、苔むした階段から小さな足音が聞こえてきた。

 フィンの元気な声と、カイルの笑い声、マリアの静かな話し声。

 夜光蝶がふわりと月見草の光に溶け、フクロウの鳴き声が一瞬止まる。

 私はテーブルから顔を上げ、入り口を見た。


「エリス姉貴! 庭仕事、俺が手伝うぞ! 光るお花で、魔法の城作っちゃう!」


 フィンが目を輝かせ、ちっちゃな体で駆け込んできた。

 金色の髪が月光に揺れ、王子の紋章がチラリと光る。

 カイルがその後ろでシャベルを手に笑い、マリアが穏やかな笑顔で続く。

 私は手を振って迎えた。


「フィン、来た。カイル、マリアも、ありがとう。フィン、魔法の城って? まずは花壇からだよ」


 私は笑いながら、フィンを花壇に案内した。

 フィンが小さなシャベルを握り、目をキラキラさせた。


「姉貴、このお花、めっちゃキラキラ! 城の壁、ぜったい作れるよ!」

「フィン、城はちょっと大変かな。ほら、月見草の苗、こうやって植えるんだよ」


 私は苗を手に、土に穴を掘る方法を見せた。

 フィンが真似してシャベルを突っ込んだが、勢い余って苗を逆さに植えてしまった。

 私は思わずクスッと笑った。


「フィン、逆さまだよ! 根っこは下、葉っぱは上だよ!」

「え、うそ!? 逆でもキラキラすると思った!」


 フィンが慌てて苗を掘り出し、土だらけの顔で笑った。

 カイルが腹を抱えて笑い、マリアが優しく苗を直した。


「エリス、フィン、めっちゃ元気だな。俺も手伝うぜ。月見草、もっと増やそう!」

「エリス、フィン、楽しそうね。私も花びら集めるよ。ポーションに使うよね?」


 マリアが月見草を手に、微笑んだ。

 私は頷き、ルナに目をやった。

 ルナがふわっとフィンの頭上に浮かび、ニヤリと笑った。


「ふん、ちび王子、ドジっ子すぎ! 私の月見草、そんな植え方じゃ輝かないよ。姉貴、ちゃんと教えなよ」

「ルナ、厳しいね。フィン、ゆっくりでいいから、こうやって土を押さえるんだよ」


 私はフィンの小さな手を握り、苗を正しく植える手順を見せた。

 フィンが真剣な顔で土を押さえ、目を輝かせた。


「姉貴、こう? できた! これで城の土台、完璧!」

「フィン、城ってまだ諦めてないの? でも、いい感じだよ。ほら、月見草、キラキラしてる!」


 私は笑いながら、植えた苗を指さした。

 月見草が月光を浴びて輝き、夜光蝶がふわりと舞う。

 フクロウの「ホウ、ホウ」が響き、庭が幻想的な雰囲気に包まれる。

 フィンが手を叩いて跳ねた。


「やった! 姉貴、俺、庭師になれるかな!?」

「フィン、庭師もいいけど、まずは月見草の騎士だね。花を守ってくれる?」


 私はフィンの頭を撫で、微笑んだ。

 フィンが胸を張り、ニカッと笑った。


「うん、姉貴の騎士になる! 月見草、ぜったい守るよ!」


 ルナがフィンの周りをくるりと飛び、ジトッとした目で言った。


「ちび王子、意外と気合い入ってるね。でも、ドジっ子騎士じゃ、私の月見草が心配だよ」

「ルナ、ひどい! フィン、ちゃんと植えたでしょ。ルナも手伝ってみたら?」


 私は笑いながらツッコんだ。

 ルナがムッとして空中で一回転した。


「私が手伝う!? 姉貴、私の光だけで十分キラキラでしょ! ほら、夜光蝶、もっと輝かせてやる!」


 ルナが指をパチンと鳴らすと、夜光蝶が一斉に舞い上がり、月見草の光と絡み合って小さな光の城の幻を作った。

 庭が幻想的に輝く! フィンが目を丸くし、大声で叫んだ。


「うわ、城! ほんとに城だ! 姉貴、ルナ、すげえ!」

「フィン、気に入った? ルナの魔法、最高だよね。でも、城より花冠の方がフィンに似合うよ」


 私は月見草を摘み、フィンに小さな花冠を作ってあげた。

 フィンが頭に被り、くるりと回ってポーズを取った。


「姉貴、俺、月見草の騎士、完璧! 姉貴の騎士は俺だけでいいよね?」

「フィン、かわいい騎士だね! でも、ルナも騎士候補だから、競争だよ」


 私は笑いながらツッコんだ。

 ルナがふわっとフィンの頭を軽く叩き、ニヤリと笑った。


「ちび王子、騎士なら私の月見草、もっと大事にしろよ。姉貴の騎士は、私だけで十分でしょ?」

「ルナ、ずるい! 俺、姉貴のナンバーワン騎士になる!」


 フィンがルナに飛びつき、じゃれ合った。

 私は笑いながら、カイルとマリアを見た。

 カイルがシャベルを振り回し、目を輝かせた。


「エリス、フィン、めっちゃ楽しそう! 俺も花冠作ってみようかな!」

「カイル、作ってみてよ。マリアも、フィンに負けない花冠、作ろうよ」


 マリアが微笑み、月見草を手に花冠を編み始めた。


「エリス、フィンの笑顔、ほんと癒される。この庭、子供にも優しいね」


 私は胸がじんわりと温かくなった。

 転生前の花屋では、忙しさに追われて子供の笑顔に触れる余裕がなかった。

 でも、この庭では、フィンの無邪気さがみんなを癒す。

 フィンが花冠を手に、私に差し出した。


「姉貴、これ、俺からのプレゼント! 月見草の騎士の証だよ!」

「フィン、ありがとう! この花冠、宝物にするね!」


 私は花冠を被り、フィンと笑い合った。

 夜光蝶が花冠の周りをキラキラと舞い、フクロウの鳴き声が庭に響く。

 月見草の香りが漂い、フィンの笑顔が月光に輝く。

 カイルが花壇を整え、マリアが花冠を完成させた。


「エリス、フィンのドジ、めっちゃ癒されたよ。この庭、ほんと特別だな」

「エリス、フィン、ルナ、みんなで作る庭、最高だよ。ポーションももっと作ろうね」


 ルナがふわっと私の肩に降り、ニヤリと笑った。


「ちび王子、ドジっ子だけど、意外とやるね。姉貴の庭、子供までメロメロじゃん。私の光、最高でしょ?」

「ルナ、調子に乗ってるよ。でも、フィンの笑顔、ほんと最高。ルナのキラキラも、ね」


 私は笑顔でツッコんだ。

 フィンが私の手を握り、目を輝かせた。


「姉貴、俺、もっと庭仕事する! 月見草の騎士、ずっとなるよ!」

「フィン、頼もしい騎士だね。この庭、みんなで守ろう」


 夜光蝶がテーブルの周りをキラキラと舞い、フクロウの鳴き声が庭に響く。

 月見草の香りが漂い、フィン、カイル、マリアの笑顔が月光に輝く。

 この幻想的な庭でのスローライフは、フィンのドジっ子挑戦で、また一歩温かくなった。



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