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先生、恋人になりませんか?!  作者: 雨宮雨霧


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ベランダ

学校がもうすぐ始まるとかいう憂鬱。本当に課題が終わっているかを確認して、早めに準備をする。課題終わってなかったら泡吹いて倒れそうだなと思いながら確認を進める。多分全部やっていそうだ、一安心。そういえば担任に会いたくないんだったな、担任変わってないかな。私は先生が生きている限り死にません、絶対に。

「叶ー、花火見えるよ。」

「え、マジですか。」

先生に呼ばれて急いで駆けつける。ベランダに出てみると小さな花火が見えた。色とりどりに咲く小さい花が。

「ここから見えるならわざわざ行かなくてもいいね、小さいけど。」

「二人で見るにはこれくらいがいいかもしれません、小さいけど。」

小さいけど綺麗に見えるし二人で見れるし。先生片手にお酒持ってるし。夏の終わりを告げるにはいい景色かもしれない。まだまだ残暑が続くだろうけど。

「もうすぐ学校だね〜、働きたくないな。」

「学校行くより綾音様と居たいです。」

夏休みが永遠に続けばいいのに。ずっと休みならいいのに。先生とずっと居たい、先生とずっと話していたい。

「叶の髪って綺麗だよね。長くてサラサラ。」

「綾音様の髪も綺麗ですよ、いい匂いするし。」

私は髪を全く切らない(切れない)からずっと長いままだ。切りたいとも思わないし切りたくないとも思わない。ドライヤー面倒だなとか洗うのだるいなとかは思うけど。先生はずっとショートカット。気付いたら切っている。長い髪の先生も見てみたいな、そんな日は来ないだろうが。

「よく伸ばせるなって思う。邪魔じゃない?」

「結べばとくには。おろしていたら貞子になるんで邪魔です。」

強い風が吹いている日に髪をおろして歩いてみろ、貞子になれる。髪が絡まるから風の強い日は結んでおかないと後々面倒になる。

花火ももう終盤、ベランダで話すことなんて滅多にないからなんか新鮮で幸せで楽しい。先生の横顔が綺麗すぎてちょっと心臓止まりそう。夜がずっと続けばいいのに。

「お酒なくなった、つまんない。」

からっぽになった缶を揺らして残念がる先生がかわいすぎてちょっと献上したくなった。だからといってお酒はあげません、あげれません。違うものなら献上できるけどね。

「夏、やっぱり好きです。」

「へぇ、そう?冬と真逆なのに。」

冬はもちろん好きだ、好きだけど。先生が好きな夏が、先生と過ごした夏が好きだ。思い出たくさん作れたしあまり病んでないし。冬は季節的になんか病むことが多いから夏のほうが生きやすかったり。暑いのは嫌だけどさ。

「綾音様と居なかったら夏嫌いなままでした。」

「嫌いが好きになるってすごくない?私なんか偉い気がする。」

なんか威張ってる先生が愛しい。花火が打ち終わってもしばらくベランダで話をしていた。冷たいベランダの柵と蒸し暑い空気と。やわらかい風と。夏、終わらないでいいのに。先生とずっと居られたらいいのに。

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