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先生、恋人になりませんか?!  作者: 雨宮雨霧


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もうやらないで。

新学期が始まってとても嫌だ。ずっと休みがいい。先生は異動したばかりだから忙しそう。いつも忙しそう。たまには休んでほしい、私が休み過ぎなだけかもしれない。新学期、新学年。クラス替えもあったわけだがやっぱりぼっち。去年誰とも話してない気がする。授業で話す時間があっても私は空気になっていた。誰とも話したくない。話せない。グループに入れないのが苦なわけじゃないし一人で居るのが当たり前だからどうでもいい。私には先生が居るし。担任は持ち上がりだった。担任と話すことも全くないしどうでもいい。進路の話もなんかしてたけどどうするべきかな、と。先生みたいな先生になりたいけど勉強ができるわけじゃないし。どうするべきなんだろう。将来を考えると死にたくなる病なのでね、死にたくなっている。先生帰ってこないしちょっとだけ、ね。

「ペットカメラに映ってる。やらないでって言ったよね。」

LINE来ましたごめんなさい先生やりたいものはやりたいんです仕方ないんです。ペットカメラの存在忘れてたけどあったんだった。私犬でも猫でもないんだけどな。

「早く帰れるようにするから待ってて。」

とのことなので洗濯物畳みます。バレたのでまたお説教喰らうんだろうな。嫌だなー面倒だなー。

「ただいま。なんで切った?」

帰ってくるなりお説教だ!おかえりなさいくらい言わせてくれよ。

「おかえりなさい、えっと、ご飯用意しますね。」

「用意しながら話そうか。」

怖い怖い、先生怒ってる。常習犯なんだからもう諦めてくれ。私はこういう人間なんだ。

「なんでやったの。」

「やりたかった。」

「傷増やさないで。これ以上やらないで。刃物没収。」

せっかく買ったのにまた没収された。悲しい現実。没収されたらもう返却されないんだよ、やだね。

「また買ってたか、どこでも買えるからってやらないで。」

「ごめんなさい。」

こういうことをしたくなったら抱きしめるからと言われていますが手っ取り早いのは自分を傷付けること。どうしようもない。私にはこうするしかできない。先生疲れてるのに忙しいのにごめんね。ペットカメラ見なくてよかったのに。

「もう二度とやらないで。」

「無理です。」

あ、やばいかもしれない。空気悪いぞ。

「もうやらないで。やらないで。これ以上傷付けないで。」

「なんで泣くんですか、泣かないでくださいよ。」

初めて見た先生の涙。自分のせいで泣かせてしまった。ごめんね先生、先生を傷付けてしまった。地獄に落ちて償います。やらないでってずっと言ってくれるのは先生の優しさ。その優しさを裏切った自分なんて死んでしまえばいい。ごめんね先生。

「もうやらないで。」

左腕を掴んでそう言う先生を見るのは将来に絶望するよりも辛かった。もうやらない、できるだけやらない。先生をこれ以上苦しめてはいけないから。ごめんね先生。ごめんね。

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