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先生、恋人になりませんか?!  作者: 雨宮雨霧


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気付けば桜のつぼみも開きそうだ。いやもう開いてるのかな。種類によっては咲いていそうだ。留年しなかったよみんな褒めて。勉強頑張ってよかった本当に。なにも覚えていないけど。記憶力大丈夫そ?って自分で思う。

「留年しませんでした!」

「おぉ、それはよかった。勉強頑張ってたもんね。」

どこかの主人公のようにはいかないけど先生に褒められたので天にも昇る気持ち。来年度も頑張るしかないな。

「叶は進路どうするの?」

留年しなかったって言ったばかりなのに進路の話ですか、嫌なこと思い出させるな。生きてるかな〜、生きてるんだろうな。

「綾音様みたいな先生になりたいです。」

「体育やるの?」

「やらないです。」

体育はやりませんできません。でも先生みたいな先生になりたい。そういえばなんで先生のことが好きになったんだっけ。いつも余ってた自分にいつも優しくしてくれたのは先生だった。手熱いよ、大丈夫?とかそんな些細な言葉すら私にとってはとても嬉しいものだった。誰とも話せない自分が唯一話せる相手でもあった。余り物になるのが苦にならなくなった。気付けば先生のことを好きなっていて先生目当てで学校に行くようになった。本当に変な生徒過ぎて申し訳ない。

「綾音様のおかげで学校に行けてました。綾音様のおかげで死なずにすみました。」

「なに急に。私みたいな教師になるより叶らしい教師になりなさい。あなたはきっと苦しみも悲しみも分かってあげられるから。」

苦しみも悲しみも分からないですきっと。でもそう言ってもらえてなんだか嬉しい気持ち。そういうところが好きなんだよ、先生。

「綾音様を見ていて先生っていう仕事がどれだけ大変なのか分かりました。でも諦める理由にはならないです。」

「そっかそっか。叶はいい先生になれると思うよ。でも病んでやめそう。」

「そう言われると自信なくなるんでやめてください。」

先生という仕事はとても大変だということ、先生を見ていてよく分かる。メンタルよわよわ人間が教師になれるのか、病んでやめないか。そう言われるとそうなるかもしれないと思ってしまう。実際に精神的にしんどくなってやめてしまう先生も少なくない。でもやりたい。先生みたいになりたい。

「先生になるならこれ以上傷を増やさないでね。乱用しないでね。乱用は臓器にも悪いの分かってる?」

「分かってます、分かってるからやってるんです。」

「やらないでね。」

一気に声のトーンが下がった。目も笑っていない。怖い。でもこれが先生だ。正しい道に進ませるのが先生ということなのだろう。

「綾音様みたいな先生になれるようにこれからも頑張ります。」

「夢があるっていいことだから。頑張りな。」

先生に頑張りなって言われたら頑張るしかなくない?自傷もできるだけやめようと思います、先生みたいな先生になるために。勉強頑張るぞー、でも嫌だな。いいや頑張る。

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