先生の誕生日
にこにこ。先生の誕生日だよ。お祝いできるのうれしいね。昨日唐揚げの下味つけておいたからきっと美味しいよ。ハンバーグも作るよ。オムライスに恋人なりませんかって書くよ。野菜ももちろんあるよ栄養ちゃんと摂らないとね。先生はちゃんと野菜食べるいい子なのです、よしよししないと。
「綾音様、早く帰ってきてくださいね。」
「土曜日くらい休めよって顔してるね。」
「そりゃ思いますよ大切なお誕生日なのに。」
土曜日なのに誕生日なのに部活と仕事。先生たまには休んでくれよ。休んでたら暇とか言い出して出かけるような人だけど。先生を見送って気合を入れて準備をしよう。飾り付けとかしたら多分嫌がるからしないでおく。ケーキはホールだと食べきれないだろうからカットでいいかな。何のケーキがいいか聞いておけばよかったな。ショートケーキでいいかな。ケーキ食べないからなにがいいか全く分からない。
先生が帰って来るまでバタバタだ。帰ってきてもバタバタか。一日中料理をするわけではないから先生の仕事より全然楽。先生は私の何百倍も頑張っている。我も頑張るなり。
「ただいま。」
「おかえりなさい!」
「随分張り切ってるね。」
ちゃんと早く帰ってきてくれた先生ありがとう大好き。晩ごはんにはまだ早い時間に帰ってくるなんてとても珍しい。
「ゆっくりしててください、料理ちゃんと作るんで。」
「そうさせてもらうよ。」
ゆっくりしててとは言ったけどソファで爆睡しててとは言ってない。それくらい疲れてたんだね、いつもお疲れ様です。頭撫でても起きない。いつもなら怒るのに。いや、待て。起きてる。
「綾音様、起きてるんですね。」
「もうちょっと撫でてくれてもいいのに。」
「撫でていいんですか。」
「なんでびっくりしてるの。」
びっくりするよ。いつも嫌がるのに子どもじゃないよって言うのになんで甘えてくるんだよだめだよ心臓もたないよ。うれしいようれしすぎて立ち尽くすよ。なでなでいっぱいして料理作ります。
「できました!」
「待ってすごいけどさ。I LOVE AYANEはダメだって恥ずかしいわ。」
オムライスの上に恋人になりませんかはちょっと書けなかったからこうした。なにか悪い?いいアイディアでしょ?先生の好きな食べ物作りましたからね。いっぱい食べてね。
「美味しいよ、ありがとう。」
「よかったです。」
作ってよかった。オムライスに文字を書く練習しようかな。メイド喫茶みたいにもえもえきゅんする?
「ケーキ買ってきたんでハッピーバースデーでも歌いますよ。」
「歌わなくて大丈夫。」
せっかくろうそくもあるのに。仕方ないな。恥ずかしがり屋なんだから。歌うのも気まずいけどね。
「ケーキって甘いんですね。」
「甘くないケーキって逆にある?」
「たしかに。」
ケーキ食べないから味も分からないんだよ。ケーキは甘い、把握。
「綾音様、プレゼントです。お誕生日おめでとうございます。」
「ありがとう。この中身はリラックスしろってことか。叶もしたほうがいいけどね。」
「私はどうでもいいです。綾音様はいつも頑張りすぎてますから。」
「二人でリラックスしよう。」
二人で。二人で?それはそれは嬉しいお言葉。
初めて誕生日をお祝いできた。うれしい。先生、お誕生日おめでとう。何歳になったかは絶対に秘密にしておかないと私の命が危ないので言わないよ。これからも一年、先生のことだけが大好きです。




