春の蕾
桜の蕾も少しずつ開いてきて、春が来たと思わせてくる。久しぶりにフリスビーでもやろう、となったので公園にレッツゴー。これで何回目になるだろう、あと何回やるんだろう。一向にうまくならない私の運動神経はどうなっているのか。ぽかぽかする青空の下、運動音痴が暴れます。
「相変わらず下手だな。」
「どうせ下手です。」
ご機嫌斜めになる暇もないくらい暴れまわる。下手でも楽しむ気持ちさえあればなんとでもなるのだ。日に照らされる先生かわいい、スポットライト浴びてるみたいにきらきらしてる。かわいいよー!と叫びたいが公園でそんなことを言えば説教間違いなし。心のなかで叫んでおこう。
疲れたらシロツメクサを摘んで花冠を作る。できたら先生にあげよう。木陰に寝転がって半分寝ている先生が愛しい。こっそり写真を撮ってまたコレクションを増やしていく。かわいいな、先生。かっこいいのに話すととてもかわいいなんて、誰でも虜になってしまう。私の先生は誰にも渡さないよ、寄せ付けない。
「綾音様にあげます。」
「おぉ、ありがとう。」
冠を振り回す先生すらかわいい。用途がかなり違うけどまぁいいか、楽しそうだし。久しぶりに作ったけど案外うまくできたと自分で思っている。昔は追い出されたときによく作っていたっけ、懐かしいな。
隣で楽しそうにしている大切な人がしゃぼんだまを飛ばし始めた。ふわふわ飛んで消えていく。儚いものは美しい。
「ポケットなんでも入ってますね。」
「便利でしょ。」
このしゃぼんだまはポケットから出てきました。本当になんでも入っている、びっくりするくらいに。でも洗濯するときに困る。ちゃんと出してくれと頼んでいるんだけどな。たまにボールペンが入りっぱなしだったりする。そんなところもかわいいから好きだよ、先生だからいいよ。
「やったら?」
渡されたしゃぼんだまを吹く…
「不味い。」
「誰が飲めって言った。」
液が口に入るという事故が起きた。不味すぎてうとうとしていた目がぱっちりと開いた。バカにされながら吹き飛ばす。青空が映ってこわれて消えて。なんだか子どもに戻れたようでご機嫌になれる。不味さはまだ残っているけどこれもまた思い出か。
「よし、もう1回やろう。」
いつまでも休憩をしていたかったのに2回戦が始まった。運動音痴と保体の先生の戦いなんて誰が見たいんだ、勝敗なんて始まる前から分かりきっている。別に争っているわけではないけど、遊んでいるだけなんだけど。勝ち負けなんてどうでもいいや。先生に相手してもらって幸せ、それでいい。
夕方になるまで遊んで、これでもかというくらい汗をかいてもう動けない。冷たいフローリングに転がって今日撮った写真を見返す。待ち受けにしておこう、私の天使を。




