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先生、恋人になりませんか?!  作者: 雨宮雨霧


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やめさせたい

冷たい春の雨が降る今日。まだ冬物の服でないと寒すぎて凍ってしまう。大学で必要なものを揃えないとだな、と思いながらなにもやる気が出なくて動けない。入学式のスーツは先生に借りればいいか、買うのも高いし。教科書は…また今度考えよう。

バイト初日なのに雨か、と肩を落としながら頑張って働く。先生も頑張ってるし先生に少しでも恩返しをしたいし頑張るという選択肢しかない。覚えることが多すぎて頭がパンクしそうだがこれも全部先生のためだと思えばなんでもやれる気がする。

「やめないの?」

「やめません。」

帰ってくるなりこれだ。そんなに働いてほしくないのか。初日で飛んだらダメだし、やめる理由もない。落ち着いた雰囲気の喫茶店だから居心地もいいし。なんでそんなに働いてほしくないんだろう。私だって先生を養えるくらいの財力を身につけたいんだけどな。

「なんでそんなに嫌がるんですか。」

「知らないところでなにしてるか分からない、どんな人が居るのかも分からないから。」

私も先生がなにをしているのかもどんな人と居るのかも知らないのですが。知れるものなら知りたいけどさ、先生だって知られたくないことくらいあるでしょ。

「普通に働きに行っているだけですよ、大丈夫です。そんなに心配しなくても。」

「ペットカメラ…」

「ダメですよ?」

バイト先にまでペットカメラ置こうとしないでくれ、頼むから。流石に私でも分かる。そこまできたら異常だと。先生の気持ちも分かるけどお店の人ドン引きどころか通報沙汰になるよ。やめようねいい子だから。私でも発想しないようなことを発想するようになってきて困ったものだ。

「叶は私のものだよ。」

「大好きなのは綾音様だけですから。」

お菓子をあげてご機嫌を直してもらう。先生以外の誰かを好きになるとかありえないから、心配しなくていいよ。先生が一番に決まってる、全部の一番が先生だから。人生で一番大切にしたい人、幸せにしたい人。…私、先生のものですか?なれたんですか?先生の私物になります。

「一度来てみてください。いいお店ですよ。」

「変な人居たらやめてもらう。」

信用されてないなー、ずっと信用ないな。最近の日頃の行いは悪くないはずなんだが。ペットカメラで四六時中見られるようになっているくらいだ、先生が心配するのも無理はないのかもしれない。もう飛び出さないから、どこか勝手に行かないから。そろそろ信用を戻してもらえないでしょうか。

「綾音様が一番です。」

「当たり前だ。」

当たり前だねそうだね、もちろんそうだよ。先生はあまり感情を表に出そうとはしないけど分かりやすいお方で。かわいいね先生、愛してくれてありがとう。世界で一番のお姫様を守れるように日々精進します。

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