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先生、恋人になりませんか?!  作者: 雨宮雨霧


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正座

先生が好きです、大好きです。今までの思い出を振り返りながら改めて思うひなまつり。ひなあられさえ用意すればなんとでもなる。なくてもなんとかなるけど、あったほうが行事っぽいし買ってこよう。

第一志望の合格発表もあるけど一人で確認する勇気も出ない。先生と一緒に見よう、そうしよう。そのほうが色々といい。こっそりバイトの面接に行ってスーパーに行って。許可は後でもらえばいいか、別に必要ないか。

「一緒に見るからちょうだい。」

「はい。」

一緒に見てくれと頼んだらひなあられをくれと言われた。一緒に見てくれなくてもあげるんだけどな。甘酒を片手にパソコンを前にする。合格発表をネットで見れるのは楽でいい。家から出なくても確認できるって素晴らしいです現代の文明と技術に感謝。

「合格?現実ですか。」

「よく頑張ったじゃん、偉かったね。」

合格しましたよかった、手応えなんてなかったしもうダメだと思っていたから全身の力が抜けていってしまう。先生に抱きつきながらよろこびます。とりあえず一安心、肩の荷も降りた。これで教師のたまごになれます、たくさん成長できるようにがんばるぞの意気です。

「あ、バイトします。」

「え?聞いてないよそんなの。」

こうなることは分かっていた。だから面接を受けるのも隠し通した。先生にバイトしますって言ったら絶対になんでだ、と詰められるから。お金が必要なら出すししなくてもいい、とか色々言ってくれるのはありがたいけども。放置されていた分、どんな家庭が正解なのかは分からないが先生ってやっぱり過保護な気がする。そこもいいんだけどね。好きだからいいんだけどね。

「いつ、どこで、誰と。」

「来週から、喫茶店、一人。」

気付けば正座をして質問攻めを食らう。前から喫茶店にアルバイト募集の張り紙がされていたんだよ、それでいい機会だしやってみようと思っただけなんだよ。学費だとか養うとかじゃなくて社会経験として…とか言っても無駄になりそうだ。

「ということなので、よろしくお願いします。」

「…分かった。」

先生の気持ちは分かるけど、いつまでも先生ばかりに頼っているわけにもいかないし社会経験ゼロのまま教師になるのもな、だし。お菓子あげる頻度も高めるからね、そんな嫌そうな顔しないで。学校もバイトも家事もやってみせます。やれます早瀬、がんばれます。

「バイトしなくてもいいのに。」

「少しでも社会経験を積んでおいたほうがいいですし。」

ひなあられは私が食べる前に消滅していた。あげたお菓子も消滅している。なんかごめんね先生。もうちょっとお菓子あげるのでどうかお許しを。先生が一番だから大丈夫、先生ファーストで生きていくから大丈夫。だから機嫌を直してください。

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