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先生、恋人になりませんか?!  作者: 雨宮雨霧


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十八

今日で17歳終わるんだー、と思っていたら18歳になりました。成人です、結婚できます。先生と結婚します、できないけど。現実なんてどうでもいい、夢を見させろ。

あなたは18歳以上ですか?に躊躇なく「はい」を押せるようになる。何気にこれが一番うれしいかもしれない。

早いものでこんなに歳をとってしまって。老いを感じる今日この頃。ここ数年で涙もろくなった。婆になったら涙も枯れ果てるくらいに泣いていることだろう。婆になれるかは神のみぞ知る。先生が生きている間は私も生きるよ。

「結婚しましょう。」

「朝からそれか。できないことくらい分かってるでしょ?」

分かっているから言っているんです。分かっていないわけがない、それでも好きだもん。結婚したいもん。こんなわがままは誰も聞き入れてくれない、現実過ぎて涙が出そう。簡単には泣かないけど。

「恋人に。」

「卒業してから。」

全部だめらしいので大人しく見送っておべんきょうしますよ。成人、つまり大人?私が大人?大丈夫かな。子どもで居たいわけではないけど大人にもなりたくない。責任を背負いたくないだけだ。教師を目指す以上、責任を持って過ごさないといけない。そう思うと嫌だなー、とか。自分で決めた道なんだから、文句はこれでおしまい。もう子どもじゃないんだから。

「誕生日おめでとう。」

「なんですかこれ。」

渡された袋の中身はすごく可愛らしい、可愛すぎるエプロンが。なにこれいつ着るんだ。困惑していると着ろと命令されたので仕方なく着用。なんでエプロン1枚、寒い。絶対にこれおかしいし。なんでもいいと言ったらこうなることを過去の自分に言えるなら…でもなにも言わない、悪くないかもしれないと思えるようになってきたら勝ちだ。

「いつまで撮るんですか。」

「いつまでも。」

いつまでも撮られるのは嫌なので強制終了。残念がる先生を横目にエプロンを綺麗に畳んで返却。1枚で着るものではないよ。また着るから、そんな顔しないでくれ。あの格好でうろちょろ動き回るのはちょっと駄目だろう、色々と。

先生が買ってきてくれたお寿司を机に置いていただきます。お寿司もかなり久しぶりだ、普段は買わないからな。半額になっていたら考えるのだけど。美味しい、たまには食べたい。

「あげる。」

「ありがとうございます。」

次の袋の中身はなんだろう。いざオープン!

「ヘアブラシだよ。」

SNSで見かけたことのあるヘアブラシ。なんかすごくキラキラしている人が使っていたやつ。大丈夫かこれを私が使って炎上しないか。ネットにはなにも投稿しないから炎上はしないか、多分。今まで使っていたのは百均のもの。梳かし心地はやはり全然違って感動モノだ。ハゲそうなくらいサラサラになれるよこれ。語彙力吹っ飛ぶくらいにはすごい代物だ。

「喜んでもらえたようでなにより。」

「綾音様も使うべきです。」

嫌がる先生を捕まえて髪を梳かす。先生の髪好きなんだー、触れる機会なんてほとんどないからこういうときに触っておかないと。もともと綺麗な髪だからな、余計に綺麗になるだけだ。羨ましいくらい綺麗なので拝んでおく。なんかご利益がありそう。

「それにしても早いものだね。こんなに小さかったのに。」

「そんなに小さくないです。」

この1年も笑いながら幸せに暮らせますように。先生との思い出をもっと増やせますように。いつまでも一緒に居ようね、結婚しようね。大好きだよ。これからもずっと愛すよ。

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