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先生、恋人になりませんか?!  作者: 雨宮雨霧


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先生の日

先生の誕生日!です!気合いを入れて準備をしよう。ひたすらになにを作るか考えていたのだけど未だに考えている。今年はチーズケーキを作ります。初挑戦、できるかは知らない。神のみぞ知る、と言いたいところだが神もきっと分からない。こいつ絶対やらかすぞって思われているかもしれない。

料理はラザニアにしました。こちらもできるかは誰にも分からない。手順が面倒なので作ったことはないし食べたこともない。未知なる世界に飛び込むのが先生の誕生日っていう。いいのか悪いのか。

「早く帰ってきてください。」

「考えておく。」

一応早く帰るようには伝えたけどどうかな。わざと遅く帰ってくるかもしれない。大失敗したら遅くてもいいよ、遅いほうが助かるかもね。でも頑張るから!頑張って作るから。期待はしないでほしい。私も自分に期待などしていない。

とりあえずチーズケーキから生成するか。クリームチーズと生クリームとえー…?混ぜればなんとかなる、問題は生焼けしないか丸焦げにならないかだ。混ぜた液体を型に流し込んで電子レンジに閉じ込める。すごく不安、とても不安。膨らむのを待ちながら勉強でもするか。受験まで残りの日数なんてないのに手間がかかる料理をしようとしている馬鹿な人。現実を見ろ。

「なんか作ってる。」

「作ってますよ、お楽しみに。」

珍しくLINEが来た。先生からのメッセージは1秒でも早く既読をつけて返信をするに限る。少しでも繋がっていたい、重めな人です。

ラザニアを作りますよ、ミートソースとホワイトソースを作らないといけないなんて面倒ですねやっぱりやめようかな。面倒だとぶつくさと言いながら生成していく。おいしくなーれ萌え萌えきゅーんとか。私がやるにはあの、イタいというかなんというか。愛情は込めすぎている自信はある、わざわざ萌え萌えしないでも美味しくなる。そうだろ?

「ただいま。」

「本物の綾音様だ。」

「偽物なんて居ないよ。」

ちゃんと言ったとおりに早く帰ってきてくれる先生にはお菓子をあげましょう。あ、後でですからね。あげるからいい子にしておいてください。

無事に生成できたものたちを机にドカンと置いて、先生をお祝いしましょう。もう歳は取りたくないと言う先生。気持ちは分かるけどさ、時間は止まってくれやしないんだよ。悲しい現実は美味しい現実に変えてしまえ。

「全部作ったの?」

「作りました、えらいですか。」

えらいと褒めてもらえたので頑張った甲斐がありました。美味しそうに頬張る先生を見つめられる幸せ。ラザニアは熱かったらしい、はふはふと食べる姿が愛おしくて仕方がない。今頑張るべきことをなにか間違えた気がするが気にしないでおく。なんとかなる、きっと。だって先生と居られるんだもん、なんとでもなる。今日は先生の日ですから、いいんです。

「チーズケーキって作れるんだね、大分頑張ってくれたんじゃないの?」

「綾音様のためならなんでもできます。」

ろうそくなんて要らないから早く食わせろと催促されてしまった。結構うまく焼けた自信がある。生焼けにはなっていないはずだし黒焦げにもなっていない。ドヤ顔できる。ケーキを切り分けて先生に奪われて感想を待つ。

「美味しい、すごいね叶。なんか作ってるなー、とは思ったけどここまでとは。」

「喜んでもらえてなによりです。」

先生より私のほうが幸せになっていないか?大丈夫かこれ。悩みに悩んだ末選ばれたプレゼントはちょっといいボールペンとちょっといいお菓子とちょっといいバスソルトになりました。全部ちょっといい、なのは予算があの、つまりそういうこと。バイト始めたらもっといいもの探しにいきます。

「全部うれしいよ。ありがとう。」

「こちらこそいつもありがとうございます。」

1日でも早く先生に恩返しができるように努力します。ありがとう、と言ってもらえるのは最高にうれしすぎて思い出すたびに顔がほころぶ。大好きだよ先生、お誕生日おめでとう。これからもずっと祝わせてね。

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