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先生、恋人になりませんか?!  作者: 雨宮雨霧


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酒豪なリモコン

学校終わりにプレゼント探しに出向く。商品もディスプレイも全部かわいく見えてくる不思議。なにをあげようかな、なにがいいかな。クリスマスケーキの予約だとかプレゼントにおすすめだとか世の中に溢れる情報に白目をむきそうになる。あ、このニットワンピースかわいい。先生に似合いそう、でも絶対嫌がるだろうな。でもかわいい、着てほしい。そう思っていると気付けば手に紙袋があった。よし、着てもらおう。あとはお菓子とかかな。他にもいいものがあったらあげよう。

「寒い。」

「リモコンどこに置いたんですか。」

未だに見つからないエアコンのリモコン。エアコンの上にもないしどこを探してもない。着込めばまだなんとかなるけど真冬は厳しい。どこに置いたのか覚えていないし最後に見たのはいつかも覚えていない。一体どこに行ったんだ。オフシーズンが暇すぎて旅にでも出たのだろうか。いつか自分も旅をしてみたい。また外出禁止になるかもしれないけど。

「あった。」

先生のお酒が入っている段ボールにいらっしゃいました。なんでそんなところに?見つかったからまぁいいか。追求しても答えなんてもう出てこない。リモコンはお酒じゃないですよ、先生。間違えないでね。

「リモコンもお酒飲みたかったんだね。」

「酒豪なリモコン…?」

意味不明な会話をしているときが何気に一番楽しいのかもしれない。馬鹿みたいに笑えて、腹が捩れるくらいに笑える。幸せで楽しい日々が続きますように。笑いすぎて虚無になるとそんなことをよく思ってしまう。永遠に続け、この恋も先生との時間も。冷たい空気の漂う部屋に白い物体が落ちている。毛布に包まった先生でした。私がもらったはずなのに先生に取られていることが多々ある。一緒に温もればいい、一緒に冬眠しよ。

「もうすぐ入試でしょ、大丈夫?」

「なにも大丈夫じゃないです、でもやるしかないです。」

着々と近付いてくる共通テスト。とても逃げたい気持ち。やるしか、頑張るしかないことは分かっている。今不安になっても未来に怖さを抱いてもなにも意味がない。先生みたいにな人になるためにも今と向き合うしかないのだ。本当に自分が先生みたいな人になれるのか?なれるわけがないことくらい知ってる。本当に先生みたいな先生になれるのか?なるために今もこれからもこの先も先生を追いかけるしかない。大丈夫、きっと。

「無理はしないで、程々に頑張ればいい。」

先生は優しすぎるよ。言葉もその眼差しも。遠い存在の先生は近くに居て、生かしてくれて。一人だったらもう人生も勉強も全部捨てていたと思う。やっぱりすごいな、先生は。やっぱり先生みたいな先生になるなんて無謀なのかもしれない。それを目標にしたからにはやるしかない。とりあえず一緒に冬眠しませんか。

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