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先生、恋人になりませんか?!  作者: 雨宮雨霧


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夜も朝も

窓を開けて涼しい風が入ってくる。少しだけ寂しくなる、でも先生が居るから大丈夫。大丈夫、きっと。ベランダを照らす月が眩しい。月といえば酒、なんて言う先生は結構真面目な顔つきで。止める理由も特にない。どうぞ、飲みすぎない程度に。揺れるカーテンが相まって、儚さ倍増。寂しさ倍増。かぐや姫みたい。

「大分秋らしくなってきたね。」

「そうですね、過ごしやすいです。」

洗濯物を畳みながら先生を見つめる。後ろ姿すら美しくて素晴らしい。スマホを構えた途端にこちらを向くのはやめてください。撮るなと言わないでください。撮りますから、必ず。なにがあっても。深呼吸をしても先生がかわいいので鼓動はどんどん高まっていくばかり。好きです先生結婚してください。まだ結婚できる歳でもないし同性同士だったらできないのか、急に現実。それでもいい、先生のことが大好きなのには変わりはない。

「…寝ました?」

「まだだけど。」

狭いベッドに転がる2人。広かったとしても多分密着していることだろう。変に意識すると寝られなくなる。暗闇をきょろきょろ見渡してもなにも面白くない。カーテンの隙間から漏れる街灯の光。目を閉じて羊を数えてもなかなか寝れない。

「すきです。」

「それはどうも。」

長いようで夜は短くて。やっと寝れたと思えばもう朝で。カーテンの隙間から漏れるのはまだ街灯の光。まだ日は昇っていない。あー、眠い。起きたくない。先生はいつも通りにちゃんと起きている、すごいな。尊敬しているけど真似はできないので寝る。おやすみ世界。なんてできるわけがなくてまた無謀な争いが起きました。どうせ私が負けるんだけどさ、この争いも案外楽しかったりする。時間のない朝になにをしているんだ、って感じだが。半分寝ながら一応の朝ご飯を用意していく。朝はパン、焦げないように気を付けて焼かないと。

「立ちながら寝るな。」

「寝てないです。」

焦げる前に目が覚めてよかった。咄嗟に嘘をついた気がする、ごめんなさい。最近は立ちながら寝れるようになったし鯉を見ながら寝れるようになった。先生を見つめているとき以外はなにをしていても寝れそうだ。先生かわいい、寝癖直ってないのかわいい。かわいいです、とても。結婚しましょう。まだ寝ぼけているせいか思考回路が酷い。

「ちゃんと食べなさい。」

「大丈夫です。」

先生が食べている姿を見るだけで私はお腹いっぱいになれる。なので大丈夫ですよ、ご心配なく。いつも通りに迎えた朝もいつも通りに迎えた夜も。いつも通りがどれだけ幸せなことか。先生と居られるのは当たり前なんかではない、むしろおかしいことで。でもこの生活が幸せすぎるので。やっぱり結婚してください。

「行ってきます、叶も行ってらっしゃい。」

「行ってらっしゃい、行ってきます。」

ずっと一緒に居られたらいいのに、先生の姿を見送りながら思ってしまう。今日も頑張ろう、先生も頑張っているんだ。気合いを入れておやすみなさい。

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