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先生、恋人になりませんか?!  作者: 雨宮雨霧


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地獄の暑さ

夏休みの課題が少しずつ発表されていく。その度に「えー」と声を上げる生徒と「別に出したいわけではない」という先生方。出したくないなら出さないでもいいんだよー、そのほうがうれしいよ。休み時間に課題を進めながら将来に絶望しながらでも大好きな先生を思い出してハッピーになりながら忙しい心とともに過ごしている。放課後は冷房の効いた教室に少し残って課題でもしようかな。

「早瀬さんが颯爽と帰らないなんて珍しいね。」

「なんですか。」

毎日早く帰ることに命をかけている帰宅部です。今日は課題を殺すために教室に残ってみました。こんな珍しいことをしたら明日は雨かな。担任に話しかけられるとどうしても突き放すような言い方になってしまう。嫌いじゃないけど嫌いなんだよねごめんなさい。悪い人ではないんだけど。

「進路調査に教育学部って書いてあったけどなんでそれにしたの?」

「憧れで目標でもある人みたいになりたいからです。」

担任とちゃんと話すのは久しぶりだった。「じゃあまた明日」そう言って担任は職員室に帰って行った。誰も居ない教室に響く青春の声。だから早く帰りたいんだよなー、ここまで終わったら帰ろう。いい加減進路決めないとだな。決まっているようで決まっていない。本当にこれでいいのか分からないし。自分の人生を左右するものを自分で決める。怖いな。どれを選んでも後悔しそうだ。でも目標は決まっているんだし。突き進むしかないんだよな。

なにこの部屋暑、と玄関に入るなり思った。手を洗う前に冷房をつけないと死んでしまいそうなくらいに暑い。でも外よりはマシ…かな。制服を脱ぎ捨てて楽な服装に着替える。ご飯の用意をしながらネットに転がっている解説動画を見る。料理と勉強を同時進行できるくらいの要領はないのでどちらかが失敗する事態になる。仕方がない。冷蔵庫には冷えたジョッキが置かれている。なにかしてるなとは思っていたけどそういうことか。キンキンに冷えたビール飲んでみたい、まだ飲めないけど。飲まないよ?いい子だからね。

「成績つけるの疲れる。終わるわけない。」

先生一人で全学年分を担当するとか地獄だよねそりゃそうなるよね。私にできるのは貢ぐことのみ。お菓子とおつまみならあげるよ。お酒はあげられないので諦めてね。

「疲れた。」

疲れたときは私が抱き枕になります。締め付ける力が強いです先生。私は筋力を測ることはできませんよ。先生に抱きしめられる幸せに溺れてしまいそうになる。先生は私を抱っこして幸せなのかな。自分だけ幸せなのは気が引ける。

「綾音様はがんばってますよ、疲れたら休みましょう。」

頭を撫でるとねこみたいになる先生に心を掴まれる。先生は頑張りすぎてるくらいだから休んでいいんだよ。真面目すぎてあまり休もうとしないけど休んでいいからね。休んでね。先生が一番大事だから。

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