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先生、恋人になりませんか?!  作者: 雨宮雨霧


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泣いても

期末が迫ってくるのに、進路も決めないといけないのになんで私は世界が終わることを願っているんだろう。世界が終われば明日は来ない。1秒先の未来も来ない。そんなことを考えていても時間は刻々と過ぎていく。残酷だ。

「もう無理です。」

「しっかりしなよ、どうした。」

机に突っ伏してうなだれる。もう無理だ。0点だなこれ。生きている意味ある?ないよね絶対。死にたい。こんな人間が生きていていいはずがない。社会に溶け込めるわけがない。先生みたいな先生になりたいなんて、なりたいけどなれるわけがない。出来損ないなんだから夢なんか見るなよ、見ていても無駄だ。見るだけ無駄だ。なんで生きているんだろう、なんでまだ生きているんだろう。ずっと死にたがっていたのに。

「叶、おいで。」

先生の声色がいつもと違って聞こえる。気を遣っているんだろう。先生は優しいからどう接すればいいのかちゃんと考えてくれているんだろう。その優しさを受け取ってしまったらなにかが壊れてしまいそうだ。どうしよう、どうすればいい?神様に聞いたって返事は返ってこない。

「叶。とりあえず顔を上げよう。」

上げたくない、上げられない。なんでこんなに無駄な思考が止まらないんだろう。この思考こそが無駄なのに。全てを妨げる、私の一番嫌いな思考。私に一番つきまとってくる思考。身体が重い、心も重い。静かな空気がただ流れていく。この空気、やっぱり苦手だな。

そっと先生の手が頭に触れる。身体に触れる。抱きしめてくれる。あたたかくて落ち着く。なにかが壊れてしまいそうになる、なんとか堪える。言葉は要らない、ただこの時間がずっとほしい。

「たまにはいいでしょ、こういうのも。」

頷くことしかできない。生きているだけで迷惑なのにもっと迷惑をかけてしまってごめんね。ごめんで済むことではないのだけれど。優しいぬくもりが心をぐるぐるさせる。どうしようもないこの感情を捨てたいのに捨てられない。

「一人で苦しむのはよくないよ。別に泣いてもいいし。」

なんで先生はこんなに優しいんだろう。見放すこともせず、見捨てることもせず。なにも話せないのにずっと隣に居てくれる。ずっと抱きしめてくれる。いつまでもこの優しさに甘えるわけにはいかないのにどうしても堪えきれない。泣きたくないのに泣いてしまう。泣きたくないのに、涙なんて見せたくないのに。こんな自分が泣いたって生産性がなさすぎるし無意味だ。どれだけの時間が経ったか分からないくらいに泣いてしまった、流石に泣きすぎ。

「なんでずっと抱きしめてくれるんですか。」

「離したら飛び出していきそうだから。」

飛び出した経験がある気がする。その節は大変ご迷惑をおかけしました、ごめんなさい。ありがとう、ずっと居てくれて。ありがとう。ちゃんと強くなる、必ず。

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