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先生、恋人になりませんか?!  作者: 雨宮雨霧


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失敗談

外出禁止の期間は案外あっという間に終わった。勉強して掃除したりしていたらすぐに終わってしまったからもうちょっと期間が長くてもよかったかもしれない。でもこれでビルの屋上に行ける、と思ったが暑くなってきたから行かない。やっぱり家が一番いい。夏の足音がすぐそこで聞こえている。先生の好きな夏が私も好きだ。暑いのは苦手だし嫌だけど嫌いではなくなった。

「綾音様ー、すきです。」

「うん、ありがと。」

好きです大好きです恋人になりましょう。先生の好きなところは優しすぎるところとかかわいすぎるところとか案外甘えてくれるところとかおかしが好きなところとか。とりあえず大好きなので大好きです。結婚しましょう。先生が好きだから生きている、生きていける。好きになっていなかったらどうなっていたことやら。生きていなかったかもしれない。

「好き?」

「好きです。」

満足気な顔をする先生がかわいくて心臓を撃ち抜かれた気分だ。なんでこんなにかわいいんだろう、なんでこんなに愛しいんだろう、なんでこんなに好きになる要素しかないんだろう。嫌いになる要素が何一つない。他の変な人間に先生を取られたくないな。自分もかなり変だけどさ。先生の隣は私だけだよ、私以外ありえない。前後左右すべて私が陣取るから。あと空中も。

「暑くなってきたね。」

「ですね、そろそろ衣替えを終わらせないと。」

衣替えといえば先生の私物を漁るイベントですよね?え?違う?じゃあ先生の私物をもらうイベント?それも違うのか。じゃあ何のためにやるんだ。わざわざ実家に行って夏服と冬服を入れ替えるのも面倒だな。やりたくないしたくない怠すぎる。こういうことは怠るべきだ。

「ちゃんとやるんだよ?」

「綾音様の分だけでいいのでは…」

駄目らしいので気が向いたら実家に赴くことにします。仕方ないな。先生の分は今からやりましょうかね。それではレッツ先生の私物漁り!

「漁るのはなし。」

「えー、そんな。それはないですよ。」

先生に服を引っ張り出してもらって洗濯機を回す。回って回る洗濯機を見ていると目が回ってもう駄目だ。

「なにやってるの、馬鹿なの?」

グサッとくる言葉がいいですよね。先生にならずっと刺されていたい。ずっとグサグサしてもらって…流石に趣味が悪すぎる。反省。

「洗剤の量間違えてやらかしたことある。」

「やりそうですね。」

先生の失敗談を聞いている。フライパンから火が出たこと、洗濯を回したことを忘れて3日経っていたこと。色々聞くうちに先生が家事に向いていないことがよく分かった。大丈夫、私が全部やるからね。責任を持ってお世話をさせていただきます。これからも先生と生きるためにがんばるぞ。一緒に家事をしてもいいんだけど嫌がるだろうから精一杯務めさせていただきます。

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