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先生、恋人になりませんか?!  作者: 雨宮雨霧


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春の陽気

すっかり春になった。桜も咲き始めているらしい。今年度もちゃんと留年せずに終えました、よかった。今は春休み。先生は部活と仕事。3月ももうすぐ終わるということに驚きながら、もう3年生になるということに驚きながら今日を過ごしている。受験生かー、頑張らないとな。先生みたいな先生になる、これは絶対に捨てないと決めた夢。夢を夢で終わらせないように頑張ります。勉強します、頑張ります。

「桜ちょっと咲いてるよ、見に行こ。」

「あ、はい。」

先生が帰ってきたと思ったら連れ出された。引きこもっているばかりではまた体力が消滅してしまうからな、たまには外に行かないと。先生に手を引かれて、なんか定番になりつつある公園に向かう。遠くからでも少し桜が咲いているのが分かる。今年も春が来たんだな。来てしまったんだな。先生の首元で揺れる指輪がなんだかとても愛しい。この恋が散らないでほしい、戻れない関係になりたくない。

「ぽかぽかだね。」

「とても春ですね。」

芝生に座って桜を見上げる。もうすぐで咲きそうな桜、まだもう少しの桜。この春の陽気では今週には満開になりそうだ。ぽかぽか、だけど日向にずっと居ると少し暑い。日陰と日向の間くらいの気温がほしい。

「綾音様と桜似合いますね、かわいい。」

「そう。」

照れているのかこちらに顔を見せてくれなくなった。先生はかわいいよ、世界一かわいい。桜みたいに散らないで居てね、春はなんだか寂しいから。先生が居なかったら生きていけないから。先生の居る2回目の春、幸せなままで終わりたい。

「たまには外に出るのもいいでしょ?」

そう言いながらフリスビーをちらつかせている。えー、またやるの?好きだね…冬ぶりだけどさ、下手なのは変わらないから。上手くなることは一生ないから。楽しくないわけじゃないからやるんだけどさ、楽しいから。

「やっぱり下手だ。」

鼻で笑うな、最初から分かっているくせに。全く飛ばないし飛んだと思えば変な方向に吹っ飛んでいくし。ひたすらに動いていると暑い、でも楽しいかもしれない。先生と遊べるのも、先生と話せるのも長い時間ではないから大切にしないといけない。全てが大切、全てが思い出。忘れる日が来てしまうのなら、忘れる前に死ぬ。先生はやっぱり上手に飛ばす。それを追いかけて転けかけるのが私。何気ないこの時間が一番幸せなのかもしれない。

「綾音様はすごいですね、もう無理です疲れました。」

「叶のほうがずっと若いんだからしっかりしなよ。」

汗を拭って芝生に寝転ぶ。先生かわいいなー、かわいいしか出てこない。語彙力が旅に出るくらいかわいい。また一緒に来ようね、またお花見でもしよう。日が落ちて冷えてくる前に家に帰った。楽しい時間が一生続いてくれればいいのに、そう思いながら湯船に顔を沈めた。

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