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先生、恋人になりませんか?!  作者: 雨宮雨霧


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居なくならないでね

年度末ということもあり先生はやっぱり忙しそう。今年は異動ではないらしいが忙しいよね、やっぱり。私はパソコンを見ながら現実逃避中。一学期に修学旅行があるとかないとか聞いて最悪だと思っている。絶対行かないんですけどね。小中も行ってないし高校も行かない。話したことがない人しか居ないのに行くわけがない。勉強するほうがマシだ。

「髪切りたい。」

「髪伸ばしてもいいんじゃないですか。」

「絶対無理、鬱陶しいじゃん。」

髪を切りたいと言う先生。そんなに伸びていないような気もするがちょっと伸びたら切りたくなるらしい。ショートカットだと少しの差でも違ってくるもんね、髪の長い先生も見てみたいが一生見られないだろう。

「よくこんなに伸ばせるね。」

「勝手に伸びてます、別に伸ばしたいわけでもないです。」

ずっと髪を切っていないから伸ばしっぱなしだ。切ってもいいけど美容院に行きたくない。自分で切ったこともあるがもうやらない、失敗する。

「前髪くらい切ったら?目にかかってるけど。」

前髪を手に取ってくるのは反則ですよ先生。ピンで前髪を止めてくるのも反則ですよ。広がった視界に入って微笑んでくるのも反則です。顔が赤くなってしまいそう、もうなっているかもしれない。先生大好き、大好きすぎる。

「やっぱり切るのやめます。」

「切りなよ、勉強するにも料理するにも邪魔でしょ。」

仕方がないので切ります。ハサミを持つ手がぷるぷると震える。苦手なんだよなー、ちょっとだけ切って終わりにしよう。いい感じでもないけどいいや、どうせ伸びるし。

「可愛さ倍増だ。」

先生にそう言われるとつい口角が緩んでしまうね。ちょっと切っただけでそう言ってもらえるって幸せすぎて死にそう、先生のほうがかわいいからね異論は認めないから。いつまでもクッション抱いているのかわいいよ、お気に入りだもんね。

「そのクッションずるいです。」

「おいで?」

クッションの座を奪い取りました。先生とひっつける、なにこれ最高に幸せすぎて天使が降りてきそうだ。先生と居られるこの時間が一番安心できる。不安も悩みも全部吹っ飛んでいくから。

「毎日忙しそうですね。」

「忙しいからね。でも叶が居るから大丈夫だよ。」

大丈夫、それを信じていいのかが分からない。私が居るからといって忙しさが変わるわけではないし先生の辛さを私は分かってあげられていないし知らない。私は先生にとって何なんだろう。考えても分からない、分かりたくもない。先生の辛さは分かりたいけど。

「なにかあったら言ってください。」

「それは叶もだよ、居なくならないでね。」

「綾音様も。」

居なくならないでね。居なくなったら生きていけないからね。先生にとって私が何者でもなくても、ずっとそばに居たい。ずっと支えていたい。ずっと一緒だよ、お願いだから。

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