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罰ゲームで告白してきた美少女ギャルと付き合うようになった件  作者: 夜依
美少女ギャルとのイベントラッシュは甘さマシマシな件
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第36話

 卒業式が終わり十日ほど。しんみりとしたもの寂しい空気はすっかりどこかへ行ってしまっていた。

 まあ、それもそのはず。一昨日から始まったのは学年末試験。新たな道へと進んでいった卒業生への気持ちよりも、自分の成績の方が大事なのが学生だ。ついうっかり、卒業生たちとの別れの気持ちに浸って赤点でも取ろうものなら、春休み返上の補修が確約されていて、それでもなんて生徒の方が珍しいだろう。


「なあ、雨音。次の数学はどの問題が出そうだ?」

「出る問題が分かったら苦労はしねぇよ。まあ、出そうなところ中心に昨日教えたつもりだから、その辺を確認した方がいいんじゃないか」

「なるほどな、助かるわ」


 そう答えたはいいものの、なぜか居座る篠崎。どうやら昨日作ったノートを忘れてきたらしい。

 まあ、遅くまで勉強した結果机の上に忘れてきたというよくあるオチだったのだから、やる気があるのは確かなのだが。


「貸すから読んどけ」

「助かる。あと、放課後の件もありがとな。雨音の家に行けばいいんだよな」

「そうだな。まあ、そっちは俺も用意しなきゃならんし、気にするな。それにまずは試験片付けないとだから」

「なにが放課後の件なの? 雨音君に篠崎君」


 話しかけてきたのは、卒業式後に声をかけてきた女子生徒。相原さんとかそんな感じだったはず。別にクラスメイトなのだから話しかけられてもおかしくないのだが、突然話しかけらるようになって驚いているというのが正直なところ。いまいち目的も読めないものだからなお困る。


「男子会ってやつだ。女子禁制のな。相原さんたちだって女子会よくやるだろ?」

「まあ、そりゃやるけど」

「で、俺たちに何の用だ?」


 あまり俺が得意なタイプでないことを知ってか知らずか、相手をしてくれる篠崎。相原さんとやらには申し訳ないが、あーしさんからの視線も怖くなってきたことだし、篠崎と話していい感じに撤収してくれないだろうか。


「次の数学のヤマを教わりに来た所存であります! ちょっとヤバくてね」

「それは俺の管轄外だな。任せた雨音」

「俺だってそんなにヤマは張らないんだけど……。まあ、微分と積分中心だからその辺の公式確認するくらいでいいんじゃないか。もう時間もないし」

「なるほど。ありがと、雨音君!」

「お、おう」


 今回の要件は本当にそれだけだったらしく、自分の席へと戻っていく。


「俺じゃなくて委員長に確認した方がいいと思うんだけどなぁ……」

「まあ、今の雨音の株価を考えたらしょうがないだろ」

「なんだそりゃ」

「あの和泉先輩から一目置かれてるという事実に、学年次席の肩書。しかも前回の試験はトップだ。接点を持っておきたいって思われてもしょうがないだろ」

「そんな風に思われてたのか……」

「まあ、ほっとけば静かになるさ。人の噂も四十九日っていうだろ?」

「それを言うなら七十五日だ」


 国語の試験はすでに終わってしまっている訳だが、篠崎の点数は大丈夫だろうか……。


 * * *


 試験終了のチャイムが鳴ってから5分ほど。試験監督をしていた先生が、確認を終えて教室を出た瞬間、教室内の空気は一気に緩む。ついに今年度最後の試験が終わってからだ。この後どこで遊ぼうかなんて話し声が教室中で行きかっている。


「壮太、一緒に帰ろ」


 どれほど周りが騒がしくても、声の間を縫ってやってきたその声は耳にきちんと届く。声から少し遅れた芽衣が来るのを待ってから、寄り道はできないけどそれで良ければ、なんて頷けば、少し強引に手を掴まれる。


「どうしたの? まあ、いいんだけどさ」

「気分?」

「なんだそりゃ」


 芽衣に手を引かれるがままに教室を後にすれば、廊下は同じように帰ろうとした生徒であふれかえっている。迫り来る人の波から芽衣を庇うように、壁際に寄りつつ軽く抱き寄せれば、芽衣の表情は驚きに満ちる。しかし、それも一瞬のことで、安心したような表情で体重を預けてくる。


「芽衣さん? 体重預けられると歩けないんですけど」

「ちょっとだけ。ダメ?」


 ここは学校内だし、周りからの視線もあるんだけど、なんて言葉は見事なまでの上目遣いによって見事に行き場を失ってしまった。


「まあ、いいけど、どうしたのさ」

「ちょっと独占欲っていうの? 壮太の人気が急に出てきたから」


 少し口をとんがらせながら言うのはずるくない? 俺の彼女、可愛すぎるんだけど。

 口に出してしまえば、何か言われそうだし、そっと腕の力を強めるくらいにしておこう。


「なあ、芽衣。明日は予定ないって言ってたじゃん」

「うん、予定はないけど」

「じゃあ、デートしよ」

「いいの?」


 少し不安げな声に、誘ってるのはこっちなんだけど、なんて返せば芽衣を抱きとめてる右腕をしっかりと握られる。


「男子って独占欲とかそういうの向けられるの嫌じゃないの?」

「他は知らんけど、俺は嫌じゃないし、ちょっと嬉しいまであるけど」

「そっか」

「満足したなら帰らない?」

「うん」

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