フィルム
ドラマチックな生き方を出来たなら
ロマンチックな死に方を出来たなら
どれだけ笑えだんだろう
誰かの記憶に残れたんだろう
アドリブだらけの人生を嘆いた
使い捨ての台本 借り物の声で騙る
滑稽なまでに似合わない演技で
独り善がりな笑みを浮かべて
拍手喝采の舞台を待ち望んでいた
でも失敗が積み重なるたび
まるで演出の一部みたいに
シナリオにはない沈黙が突き刺す
また一つ 日を落とした
また一つ 明かりを消した
影が先に行ってしまった残骸
イタズラに付けられた操り糸が
手首に絡んで僕を連れて行った
本音の上に嘘を被せて
その上でまた綺麗事を並べて
気付けば硬くなった心が
フィルムの影になっていた
裏方に徹する生き方を選びたかった
「誰かになりたい」を繰り返すうちに
忘れてしまった 自分が誰だったかさえ
眼差しの奥で腐っていく真実
まだ泣けるほど綺麗なままでくれよ
今を変えたいなんて都合のいい妄想
曖昧な言葉を繕って 未来に期待して
何もかも台無しにしか出来ないのに
何かやれるはずと空虚が背中を押す
眩しすぎるスポットライトが追ってくる
逃げ場さえ照らし出して 影を変えて
「主役になりたくない」って震えた口が
嘘を全て吐き出していた
破り捨てた将来の夢 折り目もつけずに
床に落ちていった 誰にも拾われず
僕にも気付かれずに踏み潰されていく
それでも生きていた 誰かの手に押されて
予想外のシーンに立たされて 拍手喝采
用意されてないセリフで叫んだ
引き攣った笑顔で失敗をまた重ねた
挫折ばかりの人生 その中にあった
やり直しためのワンシーン
だからもう一度だけ
鳴り響いたカチンコの音に
応えるように立ち上がった
誰にも演じられない
不格好な演技だったけど
途切れた身振りをつなぎ合わせて
舞台の端にでも立ってみせた
それが僕の生き方
映写機が映し出したワンシーンだった




