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オンモラキ
暗闇の中で生えた羽根を
彼は広げる
星さえ包むほど暗い色は
まるで鏡のように影を写す
焚べられた火に飛び込み
不死鳥のように灰から
気を喰らい 器に至る
彼は何処からでも羽根を広げる
暗闇の中からささやいて
尻尾を噛む蛇のように
無限の中をさまよう
天上に広がる光に目をつむり
真下を呑む闇に手を伸ばす
巡れ 廻れ 永久に
宵闇に紛れて 闇夜に至れ
百鬼夜行を生して永久に
生者の行進を彼は歩く
暗闇から生えた羽根は
彼が生まれる その前触れ
気を喰らい 器に至る
空を飛べぬ烏は
地を這いずり影に埋もれる




