Grave of flower language.6."Outside the entrance the dream is over."
水面に茜が満ちる
鳥のさえずりが静寂を歌う
揺れ木々が夜の終わりを告げる
窓辺から降り注ぐ光が眩しい
手を伸ばした先に君の影が見えた
響く声 外から聞こえる音
いつもの時間が始まる
今日の朝ごはんは何かな
ドアが開かれた先 君の影
焼きたてのパンとコーヒーを
テーブルの上に置かれた鏡が
二人の笑顔を写している
いくつもの山を越えて
いくつもの道を歩いた先で
私たちは立ち止まっている
それは迷いではなく
辿り着くための回り道
手にした束の間の日常を
二人の時間が流れて行く
あの日の君はもういない
今日の君が笑う
時間と共に過ぎて行く君は
いつか手からこぼれるのだろう
慌ただしく君は玄関を出て行く
また後でね 手を振って走って行く
その姿に昔を重ねて手を伸ばす
君はまるで私になったみたいだ
擦り切れた外套を羽織って
私もまたドアを開く
君の選択は正しかったのかい? すれ違う影が問いかける
間違えはなかったよ 私は影に答える
あの日の後悔は続く
それでもあの選択は正しかったと
私は影に別れを告げた
路を歩く 君の足跡を追って
気が付けば君が前にいる
繋いでいた手を離して
君も私も手を振っている
少女はおとぎ話を語った
天使に憧れた悪魔の話
しかし少女はおとぎ話を忘れて
いつしか大人になっていた
その後ろ姿を見つめる私は
おとぎ話の悪魔はいなくなっていた




