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歩む風
その風はただ歩む
どこまでも 吹くままに
地上に足跡は残らず 鳥は何も見やしない
その風はただ歩む
どこまでも 向くままに
ある人がいった その風は生きているのだと
ある人が語った その風は見ているのだと
世界を 人間を 全てを
ある人は謳った その風は流れているのだと
その風はただ歩む
どこまでも 吹き抜けて
その風はただ歩む
どこまでも 行くままに
その姿を見たものはいない
しかし皆感じ取っている
ほほを撫でる風 髪をなびかす風
その風はただ歩む
どこまでも どこまでも
果てが見えるまで




