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フリチラリアに祈りを
窓辺に植えた球根は
やがて小さな花を咲かせた
ピンク色の花びらを照らして
空を彩る
夕暮れの頃に生まれて
夜に咲いて
朝になったら散ってしまう
長いように思える時間は
気がつけばあっとう間に過ぎている
球根は花へ そして空を彩って
それが針を動かしている
また一つ また一つ 花が咲き誇る
私はその花をまた植える
それは時計の針を0に戻すこと
あの花がまた空に彩ってくれるから
嵐が来て種が割れた
雨が降って蕾が取れた
雪が積もって花が咲かない
そんなことがたくさんあった
それでも私は夕暮れの時に
花を窓辺に植える
どんなことがあっても
時計の針を0に戻す
また花が空を彩ってくれますように




