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シレネのメール
初恋なんて実るもんじゃないよね
久しぶりに会った友人と交わした言葉
初恋はそのままで終わるもの
忘れていつかは思い出に
若いってことなんだろうか
ふと見つめた嗄れた手
まだそんな歳ではないけれど
それなりに重ねたものはあった
久しぶりにメールでもしてみようか
初恋相手だったあの人に
送るメール 返信は次の日
あの頃とは変わらない文面だ
恋心なんてもうないよ
初恋はすでに終わってる
どんな結末を迎えたかは知らないけれど
今に引きずるつもりもない
勝手に終わっていった初恋は
もうすでに友情に消えている
返事はしないそのままに
会話はそれで終わりだろう
また気が向いたときにしよう
ふと思い返す若い頃
高校というフレーズに
自分はどんなものだったのかな
記録も記憶もろくに残ってない
写真は色あせている
あの頃はもう眩しくて何も見えない
現実が幻想へと変わっていく
美化されていくもの忘れ去られること
それでいいんじゃないかな
初恋もまた春とともに消えていく




