The worldview in me.
切り抜いた写真を見つめて、心の中で何かが浮かび消えた。それは言葉に表すのは難しそうで、しかし言葉にすることが出来るようなものだった。
紙とペンを机の上に置く。窓辺から差し込む残照が影を作り踊り出す。これは私の中で起きている出来事だ。そして現実でもまた起きている。
ペンと紙の影が船を作り出して、私の手の影から出来ない人がそれに乗る。オレンジ色の海原へと旅立つために帆を張り、私に風を起こせと言わんばかりに手を揺する。仕方ないなあ。私は影の船を少し弾き、海原へ旅立つその後を見届ける。
これが夢だ。
現実というにはあまりにも奇怪すぎる物語。
これが現だ。
虚構というにはあまりにも美しすぎるもの。
私の中で動く世界はいつもこうでありたい
それは幼き頃から続く想像のまた続き
言葉にしようものなら淡く消える
その積み重ねた世界が私なのである
折り重なった虚構がやがて写真となった。シャッターを切った世界よりも鮮明で、手に取ることは出来ないものだ。
今の写真に写るのは影の旅人と私。海原に反射する夕焼けの輝きがとても眩しい。耳を澄ませば細波を繰り返す音が聞こえてくる。そんな情景が夕焼けの色の中に浮かぶ
交じるもの
交差する
しかしそれは目の裏側で起きること
とめどなく断片的に写るイメージは
次第に視界を広げて
私を知らない場所へ連れていってくれる
今はまだ残照の
水平線に見える影の旅人が手を振り笑う
そこで私の夢は途切れた。目を覚ますと時計の音が鳴り響く部屋だ。目の前にペンと紙が置いてある。
――書こう、今日の世界を。




