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朧の暮れる夜空
木漏れ日から見えた明かりが
途方もなく目に写る
オレンジ色の光が眩しくて
写真を切るには程遠い
夕凪に渡る海音が
微かに耳に木霊して
川のせせらぎと共に
世界を深く彩っていく
目をつむればそこは底の世界
映るものは何もない
静寂の中に音が響き渡る
どこかへ進んでいくように
風の方向に足を向け
辿り着いた寂れた砂場
緩やかに繰り返す
漣はいつもそう
朧に薄れた水平線
いつの間にか昇っていた月が笑う
星の欠片が海に溶けて
黒とオレンジが混ざり合う
掬い上げた明かりは零れる
水面に波を立てて世界を区切る
円を描くように広がって
漆黒の残照は姿を隠していく
漆黒の空に色彩を
月と星の瞬きが瞳を潤す
手を差し伸ばした向こう側
私はまだここにいるよ




