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人形にスターチスを
幼き日の君はよく笑っていた
あの笑顔が私は好きで
ずっと君の側にいたいと願った
雪流れる冬の終わり
最後に笑ってみせたあの笑顔に
私はかつての君を重ね合わせた
涙なんて流しただろうか
終わりを知る私は立ち尽くしていた
私ひとりだけが君の行く先を知る
手を伸ばして紡いだ繋がり
今もなお続くスターチスの輪
ピンクの色が一番お気に入り
まだその手を離していない
君と手を繋いだままに
私は人形にスターチスを手向けた
若き頃はどうだったろうか
記憶の断片を探して行こう
道標は君の笑顔にしようか
四季巡り超えた冬の終わり
今もまだ立ち尽くしたままで
私の時は進まない
今さら泣いたって意味はないのに
なぜか止まらない涙を拭う
さよならをまだ君にいっていない
君へ手向けたいつかのスターチス
散ることなく咲き誇る
それは君も好きだったピンクの色彩
手を伸ばして紡いだ繋がり
今もなお続くスターチスの輪
ピンクの色が一番お気に入り
まだその手を離していない
君と手を繋いだままに
私は人形にスターチスを手向けた
さようならといって君を背中に
終わらない旅を続けよう
いつかまたどこかで君に会うために




