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条件が揃わないと最強になれない男は、保育士になりたかった!  作者: 鉄火市
55章:実習生、大切な存在を護るために戦う
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 優雅の体が地面に落下した。

 その姿に纏った炎は弱々しくなっており、それでも彼は、なんとかして立とうとしていた。

 真紅の炎のせいで見え辛いが、あちこちに紅い血が流れている。

 ようやく立ち上がっても、彼は立っているだけで一杯一杯だった。


「……父さん……」

 ぼろぼろになった父の姿を見て、優真は辛そうに呟く。

 だが、このままじゃ何の解決にもならないということは、優真自身がよくわかっていた。

 例え瀕死にしようと、説得をしようと、元に戻すことは出来ない。

 ただ、方法が無い訳ではなかった。


 暴走したメイデンの処遇を考え直してもらおうと、創世神の元に赴いていた時、連れていかれた麒麟の本拠で彼に言われたことがあった。

『最後の最後でわしに放ったあの技なら、あんなことせんでも元に戻せたのではないか?』

 その言葉が優真に与えた衝撃は大きかったが、例えそれを前もって知っていたとしても、優真は使わなかっただろう。


 なぜなら、優真が最後に麒麟を倒したあの技は失敗したのだから。


「多分……次も失敗したら……あれを受ける父さんは死ぬ……」

 そう思うと、刀を握る手が震える。

 だが、方法がそれしか思いつかない以上、それ以外の選択肢はない。

 早くしなければ、回復して、また最初からやり直しになってしまう。

 そんな焦りが俺の心を支配しようとしたそんな時だった。


『貴方は何故剣を握るのですか?』


 そんな言葉がどこからともなく聞こえてきた。

 俺はすぐに辺りを見渡すが、この場には俺と父さん以外の人物はいない。

「……なんで剣を握るのか?」 

 その言葉は、ハルマハラさんに剣の教えを請うとき、初めて問われた質問だった。

 子ども達の世話をするのに剣は必要ない。にもかかわらず、剣を覚えたいと言った俺の意思を聞きたいのだと彼は言った。

「俺が剣を握る理由……そんなの……決まってる!!」

 そう言って剣を握った時、俺の手は震えるのをやめていた。


「俺は、大切な人達を守る為に剣を振るう。今も昔も、俺にそれ以外の理由なんて無い!!」


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