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髑髏と化したアルゼンと戦っているさなか、優真の瞳から一筋の涙が流れた。
敵の攻撃を受けたのだと感じた優真はすぐに相手と距離をとるため、ジャングルジムのてっぺんまで跳んだ。
攻撃は全て避け、慎重に動いてきた。
何も攻撃を受けていないと自信をもって言えるはずなのに、喪失感のようなものを感じざるをえなかった。
涙は勝手に流れ、自分でも何がなんだかわからなくなる。
それでも、敵が目の前にいる事実は変わらない。
アルゼンの速い攻撃に対応するべく、目元を擦り、急いで横に回避行動をとる。
一歩でも遅れていれば、優真の体はジャングルジム同様粉砕されていたことだろう。
「……訳わかんねぇ攻撃しやがって……」
視認することが不可能な精神を痛めつける攻撃。
そう判断した優真は、すぐに刀をアルゼンの方へと向けた。
「流石ハ……創造神ノ眷族筆頭ニ勝ッタダケノコトハアル。コノ状態ニナッタ我ヲ相手ニ死ンデイナイノダカラナ……」
「相変わらず聞き取り辛いなぁ……最初みたいにちゃんと話せよ……」
精神的に負ったダメージを隠す為に放ったその言葉をアルゼンは聞き入れず、再び、優真とアルゼンは激しい剣戟を始めた。
◆ ◆ ◆
アルゼンの戦い方は、二本の剣による攻撃を主体にしたものだった。いくら【剛勇之王】で自分を強化しても、剣を交えた瞬間、力が急激に抜けるような感覚に襲われ、うまく踏み込めない。
防御の時も同様だ。
あの剣を防ごうと刀で受ければ、力が抜け、すぐに離れざるを得ない。
(……早くこいつを倒して、他の援護に行きたいっていうのに……)
そう思った瞬間、聞き慣れた電子音が耳に届き、一つのメッセージが届く。
その差出人の名前を見た瞬間、俺は急いでそれを開いた。
そこに書かれた内容を見て、つい笑みがこぼれる。
「どうやら大地の女神様への襲撃は失敗したみたいだな?」
それを伝えた瞬間、アルゼンは明らかな動揺を見せた。
「チッ……ヤハリ、雑魚ハツカエナイ……」
アルゼンはそう言うと、離れた位置にいた優真との距離を一瞬で詰めた。
「オマエヲ殺シテ、サッサト目的ヲ殺ソウ」
その動きは今までと比べものにならない程の速さで行われた攻撃だった。
相手は反応することが出来ず、このまま殺せる。アルゼンがそう確信した時、優真の姿はそこになかった。




