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その言葉がワレに衝撃を与えたのだ。
姿形が違い、共通点など無いに等しいワレに対し、軽蔑や侮蔑の眼差しではなく、優しい笑みでそんな衝撃的な言葉を言ってきたのだ。
彼女の不思議な力に見入られた。そう自分に言い聞かせても変わらない。
ワレは、彼女と共にいたいと心の底からそう思ったのだ。
……だが、そんな折、この子の村が全部燃やされるという痛ましい事件が起きた。
その事件が神の手によるものなのだと、ワレにはすぐにわかった……が、それを彼女に伝えるべきかどうか迷った。
神は偉大だ。
人間が思っている以上に強大な存在だ。
長い年月を隠れて生きてきたワレにはそれがわかる。
神に人間が挑もうというのは、馬鹿げている。
……それがわかっていた筈なのに、その時のワレは彼女にこのことを伝えてしまったのだ。
この顛末が神の手によるものなのだと……伝えてしまったのだ。
いくら特別な力を持っていようとただの人間。8歳のか細い少女でしかない彼女が、まさかあのような行動を取るとは……あの時のワレは予想だにしていなかったのだ。
時が流れ、今から20年ほど前のこと……彼女が13歳の誕生日を迎えた時だ。
ミナを眷族にしたいという神が彼女の前に現れたのだ。
当時のミナは、異常と言うほか無かった。
彼女の特殊能力によって、多くのSランクモンスターを筆頭に、モンスターの軍隊ができあがっていたのだ。
Sランクモンスターは大概が既存のモンスターの変異種で、我々は配下を募った。弱肉強食のモンスターの世界では、勝った者が長となる決まり、我々はこの5年間で規模を着々と増やしていった。
ワレも、彼女の能力の恩恵を受け、ファントムオウル100羽を始めとした多くの鳥形モンスターを率いていた。
その規模は、神々の介入が無ければ、世界中の国々を一夜にして滅ぼす程のレベルだった。
だが、ミナの目的は世界征服などではない。
自分の両親を奪った神への復讐。それ以外、彼女の眼中には無かった。
そして、その神が複数名の眷族を連れてきたその日、女神はミナの意思を尊重することなく、彼女を勝手に眷族へと昇華した。
それは、ミナの枷を外す行為に他ならなかった。
彼女の特殊能力が真の力に目覚めたのだ。彼女に服従したモンスター達が、力を増し、神やその眷族達を襲い始めたのだ。




