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「ねぇ、お兄ちゃ~ん、なんで今日は森に入ってるんだっけ~?」
リアカーに乗っているシェスカが、リアカーを引いている俺に声をかけてきた。
「……そりゃあ、町に買い物へ行くためだってさっき言ったじゃないか。森を安全に抜けられて、なおかつ体力ある若者に任せたいって言われたら、断れないだろ?」
「じゃあ、いつもみたいにお馬さん連れて行けば良かったじゃ~ん!」
さっきから、この問答何回繰り返したっけ?
「お馬さんは今、みんな逃げちゃったから、今いないんだよ」
「ふ~ん」
リアカーを引きながら、そんな何度したかすら覚えていないやり取りを行う。
今回、俺とシェスカの二人が森に来ている理由は、昨晩、村の買い物を婆さんに頼まれたからだ。
半年前の事件で、森の中にSランクモンスターが現れた際、村が所有していた馬が、全員死んでしまったのだ。
結果、近くの大きな町に俺がこうして向かっているのであった。
町に入る際、身分を示すものが必要とかで、先日冒険者カードを手に入れたのはこの依頼を受けさせる目的もあったとのこと。
まぁ、いつも世話になっている婆さんに、少しでも恩義を返せるのなら、使いっぱしりでも何でもやってやりますよ。
そういえば、今回はハルマハラさんは来てくれないんだな。
いや、別に怖いとかじゃないんだけどね。さっきからうなり声が聞こえてくるからってびびっている訳じゃ決してないんです。
いやほら、あの人いないと俺、非国民扱いされないかとか不安になるじゃん?
◆ ◆ ◆
無事に森を抜け、町へと入った俺たち。ギルドカードを提示すると、門番の人達も案外すんなり通してくれた。
いやはや、ギルドカード様々だな。
ちなみに、シェスカは国の子どもだと説明すると、罰金を取られずに済んだ。
村の買い物ともなれば、リアカーはすぐに満杯になるだろうな。……せめて、ライアンさんでもいいから来てほしかった。
ああいう怪力はこういうところで力を発揮してなんぼだろ。
そんなことを考えながら、町で買い物をしていると、裏路地で喧嘩というよりも一方的な暴力が行われている現場を見つけた。
ああいうのは関わらない方が身のためだろうし、さっさと通り過ぎるに限る。
『子どもが襲われているのを発見いたしました。これにより【勇気】が発動し、1分間あなた以外の全てが止まります』
…………まじすか?




