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「いえいえ、別に構いませんよ。誰にだって苦手なものの1つや2つくらいあるものです。かくいう私もピーマンが苦手ですしね」
「子どもかよっ! それぐらい我慢して食えばいいじゃないですかっ!」
「いやはやお恥ずかしい。ぐうの音も出ないとはこのことですね。……まったく、世の人々はどうやってあのように苦い食べものを食べているのですかね?」
その表情を見るとどうやら本当に嫌いらしい。
「……そうだな。俺のおすすめはピーマンの肉詰めかな。半分に切ったピーマンの中にジューシーなハンバーグ! ……思い出したらよだれが」
母の作ってくれたピーマンの肉詰めを思い出し、無意識に口元からよだれを垂らしてしまったことに気付き、急いで口元を拭う。
「ほほう、それはなかなか興味深いですね。今日の夕食はそれでお願い出来ますか?」
キラキラした瞳をみせるマーカスは侍女の人にそんな無理強いをする。
「……別に構いませんが、……絶対残さないでくださいね」
侍女の人は、その言葉を残してテラスから室内に戻った。
◆ ◆ ◆
「ごめんね。彼女は世間話が好きな女性だし、大抵他の村人も気にしないから、つい居座ってしまうんだ。許してやってほしい」
先ほどまで、爛々と目を輝かせていたはずなのにすぐに真剣な顔を見せてくる。
相変わらず食えない人だ。この、人の考えを見透かしたような顔が気にくわない。
「別に構いませんよ。それにしてもよくわかりましたね。俺があの人を邪魔に思ってたの」
気にくわないとは言うものの、別にこの人がいけすかないのなんて、初めて会った時に「シルヴィくんが好きなのかい?」と聞かれた時からだし、今更どうでもいい。
「時折、早くどこか行ってくんないかな~、とでも言いたげな目で彼女を見ていたからね。言わなくともわかるよ」
「…………本当によく見てますね。テレパシーなんてレベルじゃないっすよ」
「はは、人間観察しかすることがないからね。気に触ったのなら謝るよ。……それで? 聞きたいことってのは?」
「単刀直入に聞きます。子どもを司る神を信仰している人が、この村に住んでいるという情報を握ったのですが、いったいどなたなのでしょうか?」
マーカスさんの反応は、目を見開いて本当に驚いている様子だった。
「……まさか、本当に知らないのかい?」
「いや、何がですか?」
「へ~~、本当に知らないみたいだね。子どもを司る神、確かにこの国でその神を信仰している人は少ないが、確かにこの村にも一人だけいる」
マーカスさんは勿体ぶるようになかなか教えてくれなかったが、やがて驚きの人物の名を明かす。
「シルヴィくん。彼女がこの村唯一の子どもを司る神の信仰者だよ」




