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ホムラの儀式は特に何事もなく終わり、彼女は念願の信仰者になれたと喜んでいた。
シルヴィやシェスカ、それにユリスティナもやろうとしていたのだが、ここに来る道中で眷族になったからやる必要はないと万里華に言われていたため、受けるのは、ホムラだけになったのだ。
ホムラもこれで魔法『チャーム』と『マインドコントロール』という魔法が使えるようにはなった。俺はやらかしてしまった思い出が強いので、いっとき人に向けて使う気はない。
俺達も信仰者にならないかと勧められたが、その提案は断った。特に驚いた様子もなく、あっさりとひいてしまったシスターさんには驚きしかなかったが、気にしないことにした。それよりももっと気になることがあったからだ。
「ねぇ、シスターさん」
「なんでしょう?」
「このチャイル皇国って、なんで子どもを司る女神様を国教にしているんでしょうか?」
それが俺の気になっていることだった。パルテマス皇帝が言うには、この国以外の全国家が子どもを蔑ろにしており、そんな生活を送ってきた子どもも、大人になってから同じように子どもを蔑ろにする。
それが、この世界の常識で、唯一蔑ろにされないのは貴族の子ども達だけだ。
だが、この国だけは違う。子どもを司る女神を国教にし、子ども達を国の宝だと表現する。
国営の学校を作って子ども達に教育を施しているのは、このチャイル皇国だけで……そのせいで他の国家からも疎まれている。
だから、聞きたかった。
何故、子どもを司る女神様を信仰するのかを……。
「そう……ですね。詳細に関しては私も存じ上げないのですが……昔話としてなら聞いたことがあります」
少し考えるような仕草を見せる若いシスターさんがそう言ったことで、俺は「それでも構いません」と言った。
「このチャイル皇国は、100年程前までは子どもを司る女神様を信仰してはおりませんでした。なにせ、世界中の誰もが、その存在を知らなかったからです。
そんなある日、このチャイル皇国で大飢饉が起こりました。大人が……子どもが……食べるものを失い、餓えて死んでいく。そんな地獄が広がって、数ヵ月が経ったある日、二人の女性が空から舞い降りたそうです。その二人はそれぞれ『大地の女神』『子どもを司る女神』と名乗り、飢饉で苦しんでいた者達を救ってくださったのです! その後、大地の女神様が『子どもを司る女神』を国教にしろと命じ、二人の女神様は天へと帰られました」




