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26-17


「そこのお前達、善良な市民を脅すのは止めたまえ!」

 カルアーデ君の行動に、俺は浮かせていた腰を椅子に戻した。せっかくなのだから、彼にかっこつけてもらおう。

「なんだ? おめぇはよぉ~」

「脅すなんて聞き捨てならねぇなぁ。俺達は、店としていけないことを教えてあげてるだけだぜ~。むしろ、こんな料理を出してくるこいつらの方が悪なんじゃねぇのかよ?」

「サハラさんはこんな虫が入った料理を提供する方じゃない。どうせ、お前達が料理に虫を入れたのだろう?」

「はぁ? どこにそんな証拠があんだよ?」

「僕見たよ!」

 その高い声は、近くのテーブル席から聞こえ、その発言をした方を見ると、シェスカと同じくらいの男の子が手を挙げて発言していた。

「あのおじさんが虫を入れてたよ?」

 その子は、男の一人を指差しており、二人の顔には動揺が見られた。……顔に出過ぎだろ……。

「ありがとう、少年。……さて、何か他の言い分はあるかい?」

 男の子に礼を言ったカルアーデ君は、怒りに染まった顔になっている男二人の方を見た。

 

「このくそガキ!! よくも俺達の邪魔を……」

 そう言った男の一人が腰から小型の拳銃を取り出し、先程の子どもにむける。

「死ねや!!」

「お前がな」

 拳銃の引き金を引こうとした瞬間、男の声が拳銃を持った男の耳に届き、拳銃を持った腕を握られ、床に向けて発砲させられた。

 拳銃を発砲させられたことではなく、近付かれたことに一切気付けなかったことで驚いた男の視界に映ったのは、怒りの炎を漆黒の瞳に宿した青年の姿だった。

「……お前……俺の前で子どもに向かって発砲しようとしたな?」

 その解き放たれた威圧感に銃を持った男は、怯えることしか出来なかった。


 ◆ ◆ ◆


 万里華は目の前で起こった状況に理解が追い付かず、左手を耳に当てた。

(め……女神様……今、間違いなく優真の【勇気】が発動してましたよね?)

 心の中でそう尋ねると、万里華の耳に少女の声で『間違いなく発動したよ』という返事がかえってきた。

 これは、天使の万里華(彼女)が女神や天使長のミハエラと交信するための能力で、優真のタッチパネルとはまた別のものである。


(で……でも……)

『ああ、優真君の【勇気】が発動した時間は1秒未満……【ブースト】も発動していない……それなのに、まさしく一瞬で、優真君は男の子を救った訳だ……。これで、【ブースト】無しなんだから……化け物じみて来てるよね~』

 嬉々としてそんな言葉を伝えてくる女神とは違い、万里華は不安の眼差しで婚約者の姿を見た。


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