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25-13


 初めて見たものは、私を作った女神の顔だった。

 約500年前、私はこの世界に産まれた。だけど、子どもだった頃はない。最初から大地の女神様の眷族としてこの世に生を受けたのだ。女神様は、自分がお腹を痛めて産んだ子が独り立ちして寂しかったから、私を作ったのだと説明してきた。だからか、女神様は私を傍に置くようになった。

 他の眷族達は基本的に自由を貰ってる。……でも、私は女神様の傍に一番いられれば、それでいいと思っていた。


 ◆ ◆ ◆


「いや~。そんな私がこんな感情を抱けるようになるなんて、今でもびっくりだよ~」

 屋上菜園のベンチに一人で座りながら、ハナは昔のことを思い出していた。口から吐く息が白くなる。


 気温も天気も、外の世界と同じこの聖域と呼ばれている場所が、自分の育った世界。正式名称は違うが、それでもその名称も気に入っていた。

 最初は上手くいかなかった。

 失敗ばっかりするし、そのせいで大地の女神様や当時の眷族筆頭にもかなり迷惑をかけてしまった。それでも、女神様が私を怒ることはなかったし、眷族の皆も優しい方ばっかりだった。

 だから言える。この場所が大好きだ、と。

 そのうち、私は女神様から眷族筆頭の地位を授けられ、今まで以上に忙しくなった。先代の眷族筆頭がどれだけ凄かったのかをその地位に立たされて初めて知った。

 それでも、至らぬところはこれまで以上に頑張って、頑張って、頑張って……そして、この世に生を受けてから300年、やるべき仕事が全て終わった。

 『神々の余興』で3位の地位を取ったことで今までやっていた仕事をする必要がなくなったのだ。

 今まで忙しかったのが嘘みたいだった。

 やることがなく、毎日女神様や、天使と喋るだけの日々。

 本音を言えば、かなり退屈だった。

 そんな時、地上に住む人間が聖域に入りこんできた。ただの眷族だった頃は、珍しくもなんともない光景だった。

 そんな人間達が気になった。今まで興味がなかった人間に興味を抱いてしまった。

 そして、ひとつだけ人間が行っていることで不明なことがあった。

 人間はなぜか恋をする。

 意味がわからない。繁殖行動がしたいなら、傍にいる異性どうしで好きなだけすればいいと思う。でも、そうじゃない。人間は繁殖行動に至るまでの過程で恋という不可解な行動をしていた。もちろん、例外はあるけど、少しだけ『恋』というものに興味を抱いてしまった。

 だから、なんでも知ってそうな女神様に話を聞いた。

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