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「はいそこまで~」
優真が命を刈り取る程の攻撃をネビア相手に放とうとした瞬間、若い男のものと思われる声が聞こえた。
次の瞬間、いきなり優真の体は動かなくなってしまった。
その現象に、何が起こったのかわからないでいると、霧が一瞬で晴れた。
そこに立っていたのは3人の男性だった。
「なぁなぁバラドゥ~マ~。あいつやばくね? 支援ありとはいえ、あのネビアを倒しちまったぜ~」
「うるさいぞ、パルシアス! あいつが強いのは認めるが、さっさと自分の仕事をしやがれ!」
クリーム色の髪と耳のピアスが特徴的なチャライという印象を抱いた青年と、赤い髪をかなり短くした髪型が特徴的な硬派という印象を抱いた青年がそんな会話をしているのが聞こえてくる。
そして、パルシアスと呼ばれた青年が「はいは~い」という返事をしながら、その歩をシェスカとファルナの方に向けた。
「おい待て!! シェスカとファルナに手を出すな!!!」
てっきり声も出せないのかと思っていた優真だったが、咄嗟に出た声で、動かないのが、首から下の部分だけで、口に関しては自分の意にそって動いてくれるのを知った。
目も見たい方向を見せてくれるため、その視線をシェスカとファルナの方に向けている。
ファルナは、体から流れる血が止まっておらず、呼吸も荒くなっている。
シェスカも、近付いてくる見知らぬ男に恐怖を抱いているのか、その青年を見て震えている。
「シェスカ! ファルナを連れて早く逃げろ!」
6歳の彼女に対してなんとも無茶苦茶な頼みをするんだと自分でも思う。実際、シェスカは怪我をしているし、筋力だって年相応のものしかない。
だが、1000倍の力を得てしても、見えない緊縛を解けない自分じゃ声を飛ばすことしか出来ない。
もっと周りを警戒しておけば、こんなことにはならなかったかもしれない。怒りで我を失ったせいで、今、自分にとってかけがえのない存在の二人に危機が迫っている。
涙が出てきて、声がかれそうになっても、何度も何度もシェスカに逃げろと言うが、シェスカは動いてくれない。やがて、シェスカの額に青年の指が触れた瞬間、震えていた少女は本当に動かなくなった。
硬直してしまったシェスカを見て、自分の中で再び猛烈な殺意が沸き上がる。
それと同時に体の底から力が沸いてきて、自分を縛る見えない何かは断ち切れた。
足に力を込め、地面に亀裂が入っていく。
「テメェ……っ! ぜ……っ!?」
そして、こっちに驚いた顔を向けてくる青年に殴りかかろうとした。……だが、それはどうしようもないことだった。
『【ブースト】の制限時間になりました』
その表示と共に体から全ての力が抜けていく感覚に陥り、優真は膝から崩れ落ち、地面に倒れ、その意識も闇の中に沈んでいった。




