24-21
大切な人を守れるようになりたい。
どんな脅威からも彼女達を守れるだけの力が欲しい。
……それなのに……そう思って頑張ってきたはずなのに、この状況で俺が守れているのは自分の身一つだけだ。
ネビアとかいう迷惑な奴が、俺の大切な人達を傷付けようとしているのに、俺はここにいる雑魚モンスターの相手をさせられている。【勇気】が発動しているため、流れる時間は少ない。だが、体力の消費が異常に激しい。おそらく霧が影響しているんだろう。本当に腹立たしいことこのうえない。
そもそもモンスターの数が尋常じゃない。10や100ならいいのに、軽く500はいるだろう。
それに、シルヴィ達のことが気になる。メイデンさんがいるから、大丈夫だとは思うが、この霧の異常性で離ればなれになっているかもしれない。
そんな不安が募っていくものの、結局はどうすることもできない。ここから逃げようにもどうせ近付かれて戦闘になる。それに、ここがもうどこかもわからないうえに、シルヴィ達がどこにいるのかも検討がまったくつかない。せめて、周りの状況が知れればいいのに、女神様やミハエラさんと連絡を取ることすら出来ない。
「……もういい加減、【勇気】に頼る戦法じゃ駄目だな。……この数相手に【勇気】無しだと時間がかかり過ぎるからあんまりしたくなかったんだが……このままじゃきりがないからな……」
そう判断した俺は300のモンスターを斬り伏せたところで、作戦を変更した。
俺は【勇気】が発動した直後、すぐに対象のモンスターを斬って、【勇気】の条件をクリアした。そして、その直後に、俺は別のモンスターを斬りさいた。
そうしたことによって、【勇気】の発動条件は、ここから離脱しない限り再び発動することはない。
そもそも【勇気】とは、攻撃を受けた瞬間、自動的に発動する。だからこそ、敵を先に斬ったことで、その効果が失われるのだ。
そうして始まったモンスターの大虐殺。俺は目に映るモンスターを片っ端から斬っていく。シルヴィ達が危機に晒されている状況下で敵側についたモンスター共にかける慈悲なんてものはない。
だから俺は容赦なく剣を振るった。
斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って、ただひたすら目に見えたモンスターを斬り殺していく。
そして、8割を殲滅させた頃だった。
俺の視界に突如、白く光る影が映った。かなり離れた場所で、そんなところに視界が届く筈はない。霧が邪魔だし、モンスターもかなりいる。なのに、今もくっきりと映っている。
それが何かはよくわからない。
ただ、そこに行くべきだと思った。
モンスター達はどうだっていい!
こんなところにいては、結局誰も救えない。ここにいても意味はなく、俺に残された選択肢は一つだけだった。
だから、俺はそこに向かって一直線に走った。
しかし、真っ正面にあった光が急に途中で右に行ったり、左に行ったりとしてしまうこともあった。だが、光を目的としていたため、迷わずにすんだ。そして徐々に近付いていくことから、これは霧のせいで方角が変化しているのだと判断した。
ここにきて、ようやく自分の方向感覚が狂わされていたことに気付いた俺は、自分の不甲斐なさに歯噛みした。
モンスター達は、俺の後ろをついてきていたが、俺の足に追い付けないモンスターは早々にリタイアし、同じくらいのモンスターは霧に惑わされたのか、いつの間にか消えていた。そして、ライトニングパンサー等の足が速い系のモンスターは、邪魔だったので俺の前に立ってきた瞬間、片っ端から斬っていった。
そうして光との距離がかなり近い場所になった瞬間、獣の鳴き声が聞こえてきた。




