24-17
ドレスに身を包んだ少女の手を引きながら、栗色の髪をツインテールにした少女は走っていた。
どこを目指しているのかはもうわからない。ただ、背後に迫っている者達から必死に逃げる為、息を切らしながら駆ける。
(……なんでこんな浅いところにいるのよ!)
「……シルヴィお姉様……やっぱり話せばわかってくれるんじゃないですか?」
「何言ってんの!! そんなことしたら、もう二度とユーマさんに会えなくなるんですよ!!」
手を引かれながら走るユリスティナは彼らが何者かわからず、そう提案するのだが、シルヴィの放った言葉に顔を青ざめ、彼女の足を引っ張らないよう頑張って走る。
(わたくしには、あの方達が何者かわかりませんが……おそらくシルヴィお姉様にはわかるのですよね…………あんな必死そうなお姉様を見たのは初めてです……)
◆ ◆ ◆
シルヴィとユリスティナの二人は、数分前まで霧の中に消えてしまったシェスカとファルナを捜していた。モンスターが嫌がるお香を焚き、霧で真っ白になった森をはぐれないよう手を繋いで歩く。
「なかなか見つかりませんね……霧で何処にいるか見辛いですし、シェスカちゃんとファルナちゃんの声も聞こえません。……せめて二人が無事だといいのですが……」
「ええ、せめてシェスカとファルナちゃんが一緒にいればいいんですけど、この霧では難しいかもしれませんね……」
そんな会話をしていると、足音で誰かが近付いてくるのにシルヴィは気付いた。
「……誰か来たみたいですね……この足音は……」
「シェスカちゃん達でしょうか? シェス……っ!?」
ユリスティナがシェスカの名を再び呼ぼうとした瞬間、シルヴィが彼女の口を手で押さえ、ユリスティナが身に付けていたお香を地面に投げ捨て、近くの茂みに急いで隠れた。
「んーんーんー」
「静かにしててっ……この足音は子どものじゃなくて大人のだからシェスカ達じゃないみたいです」
その言葉を聞いたユリスティナは、シルヴィの言葉に何度か頷き、ようやく口から手を離してもらった。
そして、二人は息を潜めて、少しの間そこに隠れた。
すると、足跡の音が近くに来ているのがわかった。
「あ……あれは!?」
口元を手で覆い隠しながら、シルヴィが悲鳴に似た声を出す。しかし、口を覆い隠していたことで、ユリスティナのいる位置でもかなり小さい声で聞こえてきた。
シルヴィが見ていた位置には、かなり肌を露出した民族衣装を着ている小麦色の肌の男達だった。
優真よりも一回り大きな体格の男達は、シルヴィが投げ捨てたお香を見つけて、民族特有の言語で話している。
「……ユリスティナちゃん。このままここにいたら危険なの。彼らが移動したら全力で逃げるから、絶対に手を離さないでね」
声を潜めて言ってくるシルヴィに、ユリスティナはとりあえず頷いた。




