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24-15


「くひひっ! どうした! さっきから、動きに迷いがでてるぜ?」

 そう言ってくる青年に特殊能力で召喚したエクセキューショナーズソードを振るう。

 それを別の男が、持っていた大剣で受け止め、後方から女性がナイフで襲いかかってくる。

 後ろからの攻撃に、メイデンは体をひねって回避し、すかさず後方に下がる。

(……また、ダメか……)


 メイデンは苦戦していた。

 一人ずつだったら、メイデンは彼らより圧倒的に強く、連携を取られても負ける気はしなかった。

 だが、メイデンに予想外なことが二つあったせいで、うまく戦闘を有利に運べなかった。

 一つ目は彼らの連携だった。

 霧の女神の眷族というだけあって、霧の中で異様な速さで動いている。これが面倒だった。

 ただでさえ地形がわからず、そのうえ霧がかかって見辛いというのに、彼らは絶妙な連携を仕掛けてくる。連携を崩すために一人ずつ仕留めていこうとしても、必ず邪魔が入ってくる。

 だが、これだけであれば、なんとかする方法はあった。

 ただ、その方法を取れない理由があった。

 それが二つ目の護るべき対象だった。

 自分の主神が仲良くしている女神に、彼女達を守れと言われた。

 そして、自分はそれを引き受けた。

 ならばそれをなにがなんでも遂行しなくてはならない。

 だが、この霧で二人の居場所が分かり難かった。

 そして、彼女達のいる場所を視界に捉えることで、視認範囲が増え、神経をすり減らし続けていた。人を護るということが、いかに難しいかわかった。

 それでもやる必要がある。

 例えこの身が絶えても、彼女達を護る。……だってそれが彼の笑顔につながると思うから……。


「メイデンさん!!」

 その時、守護対象の声が耳に入ってきた。

 自分だけでなく、全員がそちらの方を見ると黒い髪の女性が、立っていた。

「これから1分間、私達のことは気にしないでいただいて大丈夫です。特殊能力で私達は絶対に安全ですから、それまでに決着をつけられますか?」

 聞き取りやすい声が、その情報を正確に伝えてくる。

 でも、自分じゃ彼女達に届くほどの声を出せない。

 だから、彼女達に向けて親指を立てた拳を向けた。


 ◆ ◆ ◆


 遠くにいたメイデンさんがこちらに向けてサムズアップしてくるのが見えた。

 それと同時に数人の眷族がこちらに近付いてくるのが見えた。彼らは自分のオーラを隠そうとしていない。それが圧倒的な自信からなのかはわからないが、そのお陰で正確な位置を捉えることができ、余裕を持って行動に移れた。


「ホムラちゃん! お願い!!」

「了解! 天使様、絶対に手を離さないでくれよ! 【隠密】発動!!」

 ホムラがそう大声で唱えた瞬間、先程までそこに立っていた二人の姿は消えた。

「人間共が消えた!? どうなってやがる!!」

 一瞬にして、二人の姿が消えたことで、霧の女神の眷族が大声で仲間に知らせ、全員がその現象に驚いたような顔を向けた。

 それは当然、メイデンも例外ではない。

 他の者と違って、顔に少ししか出していないが、その無表情の仮面が一瞬外れた。

「……そういうことね」

 そして、メイデンは再び着けた無表情の仮面に少しだけ笑みを刻んだ。


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