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24-9


 シェスカは真っ白に染まった森を駆ける。

 向かう方向は目をつぶれば、その白い姿を捉えることができるから問題ない。ただ、そこに向かってひたすら駆ける。

 しかし、少女の小さな足で進める距離はたかが知れており、駆けても駆けてもなかなか追い付けないでいた。

 そんな時だった。

 いきなり何かにぶつかった。

 目をつぶって彼の姿を追っていたため、前を見ていなかったことも原因の一つだろうが、この霧が支配する環境では、周りがよく見えない。だからシェスカも声をかけられるまでぶつかったものが木だと思っていた。

「やぁ、どうかしましたか、そこのお嬢さん?」

 息を切らし、今にも泣きそうな少女にそう声をかけたのは、白い髪の眼鏡をかけた男だった。

「お兄ちゃんが……あっち駄目なのに……行っちゃったの……」

 シェスカはそう説明するが、男は心配そうな表情も見せていない。

「ふむ。それは大変ですね。……今は霧も濃いですし、こんな危険な森に可愛らしいお嬢さんを放置する訳にはいきません。私も一緒に探してあげましょう」

「ほんとっ!?」

「ええ、本当ですよ」

「ありがとう、おじさん」

「おじ……まぁいいです。それでは行きましょうか」

 そして、白髪の男は、シェスカの手を握って、共に歩こうと足を踏み出した時だった。

「そっちじゃないよ?」


 その言葉で、ネビアは顔に焦りを見せてしまったが、すぐに優しいおじさんの顔に戻ってシェスカの方を向く。

「わ……わかるのですか?」

「うん! あっち!」

 それは確かに自分が彼を誘導した場所だった。


「そ……そうなんですね。……では向かうとしましょうか」

(……まさか……偶然か? 【迷いの霧】が簡単に見破られた? いや、偶然に決まってる。こんな小娘が簡単にわかるものではない。どうせあてずっぽうだろう……まぁ、もう既にそっちではないがな……)

 ネビアがそう決めつけた瞬間、引いていたシェスカの腕が急に止まった。

「どうかしましたか?」

 振り返ってそう言うと、そこには少女が目を閉じたまま、棒立ちしていた。

 やがて目をゆっくりと開いたシェスカはこう言った。

「……あっちじゃない」


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