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「え? ちょ……ちょっとなに言ってんのよ!!」
突然の行動にホムラが驚いたような声を上げて、アオイを問い詰める。だが、アオイはホムラの方を見ようともしなかった。そして、アオイは膝を片方ずつ地面につけ、その額を躊躇なく地面につけて懇願し始める。
「不躾なお願いだということは理解しております。ですがどうか! どうかお願いいたします!!」
「こ……こんなところで土下座なんて止めてください!」
とうとう土下座までし始めた女性の姿に優真は戸惑い、声を荒げて止めようとするが、彼女は顔を上げてはくれなかった。
「お願いします! お願いします!」
何度も言ってくる彼女の嘆願に、優真は額に手をついて溜め息を吐いた。
「…………ホムラ、お前の意思を聞かせろ! 連れていくかどうかはお前の意思次第だ!」
その言葉を聞いた瞬間、顔を地面に擦り付けていたアオイがその蒼い瞳でホムラの方を見る。
その瞳に気圧されて、ホムラは自分の本心をさらけ出すことに決めた。
「私は…………行きたい……でもっ……」
「私達が心配……ですか?」
立ち上がろうとしているアオイの言葉にホムラは頷いた。
自分は救世主様に与えられたリーダーという役割をしっかりと担わなくてはならない。
だから、仲間達を見捨てるような無責任な真似は出来ない。
それを理由に断ろうとした瞬間、両頬に強い痛みが走った。
それは副リーダーを務めているアオイの両手だった。アオイは彼女の頬に触れたまま、金色の瞳を自分に向けさせる。
「ホムラ。私達は貴女が思っている以上に立派な組織なんですよ。キョウ君だっていますし、15名の隊長だっています。なんなら5年間私達を支え続けてくれたバートラム博士だっています。そして、私がついています。だから、安心して行ってきてください。私達は貴女の力になりたいのであって足枷になりたい訳じゃないんですから」
アオイの瞳からは少しずつ涙が溢れている。
ホムラはその瞳に再び涙を浮かべ、アオイに抱きつき、「ありがとう」と彼女に伝えた。
そして、優真の方に歩み寄り、頭を下げた。
「私に出来ることなら何だってする! 掃除でも、荷物持ちでも……だから、私を一緒に連れていってくれ!!」
「……別にそんなことは望んじゃいないよ。ホムラには色々と世話になってるし、君が望むなら、俺に異論はないよ」
その言葉を聞いた瞬間、ホムラの顔が普段通り明るいものとなった。
こうして、ホムラを仲間に引き入れた優真達は聖域に向かうのだが、この時の彼らは知らなかった。
森で待ち受ける困難を…………




