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23-3


 俺はこの帝国に仕える身でも、彼らに何かしらの恩義がある訳でもないため、めんどくさそうなのなら、断ってもいいと思っていたのだが、見解が甘過ぎた。


 皇帝からの頼まれ事の内容はチャイル皇国皇王に会ってきてほしいというものだった。

 チャイル皇国は、バートラム博士の住んでいた国で、国教としてうちの女神様を信仰しているそうだ。

 そのため、子どもの扱いが他国よりしっかりとしていて、教育機関もあるとのことだった。

 位置関係も、スティルマ大森林を抜けた先にある国らしく、聖域に向かった後、向かえばいいと言われていた。


 なんでも、フェムド皇帝が、俺が要求した内容に関しての書状を送ったところ、あまりいい返事ではなかったらしい。

 それもそのはず、この十数年間、戦争の準備をし続け、他国に喧嘩を吹っ掛けていたパルテマス帝国の信頼度はかなり低かったのである。

 そのため、事の次第を伝えたところ、ではその眷族に会わせてみろと疑ってきたため、俺に行ってほしいそうだ。


 最初は行くのも悪くないと思ったし、タッチパネルに他の皆も行きたいと言っていると聞いてもいなかった内容が女神から送られてきたため、二つ返事で了承を伝えたのだが……。


 ◆ ◆ ◆


「まさか馬車で往復20日の距離だとは思ってなかったなぁ……」

 しかも、大森林に入ったら野宿のため、悶々とした日々を暮らすのが目に見えていた。

 そんな訳で簡単に引き受けたことを後悔している俺だった。


「でも優真、シルヴィちゃんは、お母さんの故郷に行けるってすごく楽しそうじゃん。あの笑顔を見て、まだ後悔してる?」

 隣に座る万里華が、先程から、どんなところなのかと期待に胸を膨らませているシルヴィを指差して聞いてくる。

 おそらく、外出を控えさせているのもあるだろうが、とても楽しみにしているようで、その笑顔を見ていると癒されてしまう。

「まぁ、シルヴィ達が楽しそうなら、別にいっか」

「そうだよ! それに新婚旅行だと思えば、多少の移動距離だって多目に見れるよ!」

「……なるほど。ネガティブに考えるよりもポジティブに考える訳か……それに新婚旅行とか考えたこともなかったし……ちょうどいいかもな」

「でしょっ! せっかくなら初めての海外旅行を楽しみましょっ!」

 万里華の言葉で沈んでいた俺の気分もかなり良くなった。彼女にありがとうと言ったところで御者台のお姉さんがもうすぐ着くと言ってくれた。


 そんな感じで俺達は最初の目的地にしていたカナルヤに着いた。


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