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23-2


 昼下がりの活気ある通りを馬車で揺られながら通っていく黒髪の青年は、溜め息を吐いていた。


「優真……溜め息ばっかり吐いてると幸せ逃しちゃうよ?」

「……そうかもしれないが……まさか皇帝にあんなことを頼まれるとは思ってなかったんだよ」

 幼なじみであり、婚約者の一人でもある万里華に、優真がそう返すと万里華も苦笑いをし始める。


 現在この馬車の行き先は『救世の使徒』の本拠地や優真達が住んでいた家のあるカナルヤに向かっている。ホムラ達に挨拶をしに行くのと、夜にスティルマ大森林へと赴くのがあまり得策ではないということで、あの家で一夜を過ごすためだ。

 そして、今回の最終的な目的地はハナさんがいるという聖域……ではない。その先にあるチャイル皇国と呼ばれる場所なのである。

 何故こうなったのか。それは今朝皇帝に一つの頼まれ事をされたからである。


 ◆ ◆ ◆


 皇帝に呼ばれた俺はユリスティナだけを連れて城に赴いた。

 ユリスティナについてきてもらったことで、案外すんなりと入ることができた俺は、皇帝家族に出迎えられた。

 ちなみに、ユリスティナの母親は、ユリスティナを産んですぐに亡くなっており、その翡翠色の瞳と金色のウェーブがかった髪は母親譲りなのだそうだ。

 第一皇女は19歳のフィリップ王子と14歳のユリスティナよりも上の歳で22歳。現在は他国に嫁いでいるとの話で現在はいない。

 要するに、フェムド皇帝とフィリップ皇子、そしてディアンツスという左将軍である。

 ちなみにディアンツスは皇帝の義弟にあたるらしい。

 屋敷のことや一応いただいた貴族の地位に感謝の言葉を述べると、いきなり「アマミヤ侯爵殿、実は貴殿に頼みたいことがあるのだが……」と言われた。


 まぁ、仮にも皇帝な訳で、彼が子どもを司る女神の信仰者であるならば、俺の方が地位は上なのだが、この皇帝は代々、大地の女神を信仰しているため、実は俺の方が地位は下だったりする。

 まぁ、そんな訳で、理由もなく断る訳にはいかないため、聞くだけ聞いてみることにした。


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