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俺はユリスティナの頭から手を離して、女神以外の3人を視界におさめる。手を離した瞬間、ユリスティナが名残惜しそうに見てきたが、彼女と寝る時は、いつも撫でているため、今回は話を優先した。
ちなみに言っておくが、ユリスティナには一切手を出してないからな。女神様との約束は破ってないからな!
「わかってるよ! シェスカちゃんやファルナちゃんと寝る時同様、添い寝くらいしかしてないことくらいね。そんなこと誰も疑ってないから、さっさと話せ!」
「……それもそうだな。そもそもシルヴィは強制労働から数年前に逃げ延びた一人なんだ。そのため、ベラキファスはシルヴィを自分の屋敷に連れていき、俺はシェスカの力を借りて、シルヴィをなんとか助けだせたって訳。その際、自分の思いを打ち明けて、結婚を申し込んだんだけど……問題が一つあってな……それがこの帝国の制度だったんだよ」
「確かパルテマス帝国で結婚を行う場合、国に申請をする必要がありましたね。そこで問題になるのがシルヴィお姉様は労働逃亡者という肩書きがついていることなんですね?」
「うん。シルヴィが悪い訳じゃないけど、この帝国は労働逃亡者に対して、何をしてもいいというふざけた法律まであるらしいしな」
「ガイベラスが決めた法案の一つですね」
「今思えばそうかもしれないな。あの皇帝、そんな法案作るような人に見えなかったし。まぁ、そんな訳で、俺達はこの帝国では絶対に結婚することが出来ないと思ったから、森を抜けた先にある国で結婚しようと約束したんだ。……でも、シルヴィの存在や同じ労働逃亡者として扱われていたホムラ達『救世の使徒』がパルテマス帝国の皇帝に認知されたのであれば、もう何の問題もないでしょ?」
「なるほど! それでしたら、何の問題もありませんね!」
シルヴィが満面の笑みでそう言ってきたため、俺は肯定の意を示すために頷いた。
だがーー
「悪いんだけど、結婚はもう少し延期にしてほしい」
そう言ったのは、隣の椅子に寛ぐ女神だった。
「……なんで?」
その予想外過ぎる反対に優真は理由を聞かずにはいられなかった。
「なんでもなにも、まだハナちゃんとの婚約が決まってないからね。結婚したいなら、早く彼女のもとに行かないとね」
「……そういえば、前にそんなことを言ってたな。……要するに、結婚するなら先ずはハナさんの気持ちと向き合えってこと?」
「そういうことだよ。ちなみに、向こうの神様が言い出してきたことだから……分かるよね?」
「確か大地の女神様だったよね……神様の中でもかなり高い地位の神様……失礼があったらまずいし、長時間待たせるのも悪いな……」
「そういうこと。だから、この帝国で一段落ついた今、優真君がやるべきことは?」
「聖域……大地の女神様が作りし楽園に向かうことだな」
こうして、新しく屋敷に移り住んだ俺達だったが、すぐに聖域のあるスティルマ大森林に向かうこととなった。




