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「うわ~凄いですね~」
シルヴィの声が玄関ホールに響き渡る。
カーブを描くような二つの螺旋階段は2階に繋がっており、上を見てみると大きなシャンデリアがつけられていた。
このシャンデリアっていくらくらいするのだろうか、と考えていると、万里華が俺の肩を叩いて聞いてくる。
「ねぇ優真、ここってどこで靴を脱ぐの?」
彼女が疑問に抱いたとおり、ここには、前の家と違って靴を脱いだり履いたりする場所はなかった。
「城に入った時と同じで靴のまま入れるんじゃないか?」
「そうなの? なら、あの子達に靴履かせた方がいいかな?」
そう言った万里華の指が差した方向に、俺は目を向けた。
「ひっろ~~い! 探検だ~!」
「シェスカ家の中で、走った。駄目! 危ない!」
彼女の指が示した方向では、シェスカとファルナが靴を脱いでおいかけっこをし始めていた。
「あの~、子どもを司る女神様に聞いてこいと陛下に言われたことがあるのですが……」
シェスカとファルナの靴を持って、二人を追いかけにいってくれた万里華を見送っていると、ユリスティナの隣に控えていたメイファンが俺の隣に立っている女神に声をかけてきた。
「なんだい?」
「あ……あの、子どもを司る女神様が望むのであれば、国でもトップレベルの執事やメイド、見張りの者をご用意するとの事です!」
「それなら大丈夫だよ。それに、私の信仰者でもないような者を屋敷に入れたくないしね」
「そんなこと言うならメイファンさんはどうなるんだよ?」
「メイファンちゃんは可愛いからオッケー」
「そ……そうですか。では、その旨を陛下にお伝えして参りますので、私はこれで失礼いたします」
「ありがとね~」
メイファンさんは最後にもう一度俺達に向かってお辞儀をすると、屋敷を出ていった。
◆ ◆ ◆
キッチンの広さや高性能なところにテンションが上がっている二人の婚約者。シェスカとファルナの二人と遊ぶもう一人の婚約者。そして、住み込みで働くメイドのはずなのに、全く働く兆しを見せないメイデンさん。
そして、座り心地の最高な椅子で寛ぐ俺と女神。
皆も楽しそうだし……こんなお屋敷を用意してくれた皇帝には感謝しかないな。
そんなことを考えていると、万里華が椅子に座る俺の首に後ろから腕を回してきた。
「ねぇ優真~! こんなお屋敷ももらっちゃったことだし、皇帝の考えが変わらないうちに結婚しよ~」
その言葉に、近くにいたシルヴィとユリスティナだけでなく、何故かメイデンさんまで寄ってきた。
「わ……わたくしも賛成です! お父様なら盛大に祝ってくださりますわ!」
万里華の言葉にユリスティナも賛同を示してきたため、俺も少し乗り気になっていた。
だが、その空気の中で、シルヴィだけが浮かない顔をしていた。




