22-1
「おはよう優真、ぐっすり眠れた?」
体を揺すられたことで、意識が夢の中から現実に戻り、重い瞼をゆっくり開けると、そこには、幼なじみの姿があった。
「…………おはよう万里華……今何時?」
「6時だけど?」
「……後5分寝かせて……」
「だ~め! なんか、メイファンって子がやって来ているわよ? 優真に手紙を渡しに来たんだって~。ラブレターだったりして~」
「…………」
「……って寝てるし……このお寝坊さんめ……」
万里華は項垂れるように、目の前で再び夢の中に行こうとしている優真の姿を見て、楽しそうに呟いた。
こうして、彼の寝顔を隣で見ることができる幸せが今は嬉しい。できることなら、ずっと見ていたい。
そんなことを思いつつも、万里華は頼まれたことを無下には出来なかった。
(さてさて、どうやって優真を起こしたものか……せっかく婚約者になれたんだし……R指定されるような起こし方……はさすがにまだ恥ずかしいし……前みたいにシェスカちゃんが来たりしたら大変だし……)
そんなことを考えていると、扉がノックされ、そのままゆっくりと開かれる。
そこから顔を出したのは、翡翠色の瞳で興味深そうに部屋の中を見始める金髪の少女だった。
その少女は、万里華が優真の近くにいるのに気付いた。
「あ……マリカお姉様、いらしたのですね。ユウマ様は起きられたのですか?」
「ううん、一度は起きてくれたんだけど、また寝ちゃったの。ユリスティナちゃんも優真を起こしに?」
「え……ええ。メイファンがユウマ様に御用があると聞いたもので……。け……決して、ユウマ様のベッドに潜り込んで、驚かそうなんて思っていませんわ!」
(……そんなこと聞いてないんだけどな~……まぁ、あわてふためくユリスティナちゃんも可愛いし、このまま見~てよ)
手を必死に振って、否定しているその姿を笑顔で見ていた万里華は、後ろの方で布団がめくれる音がしたのに気付いた。
「なんか騒がしいと思ったら……何やってんの二人とも?」
そこには、安眠を邪魔されたことで少しだけ機嫌が悪くなっている優真が布団を捲って上半身を起こしていた。
「おはよう優真、今度は後5分って言っても寝させないから」
「おはようございますユウマ様。メイファンがユウマ様に用があって下で待ってますよ。ご気分が優れないようでしたら、後日にするよう伝えてきましょうか?」
「おはよう万里華、ユリスティナ。メイファンって確かユリスティナの付き人をしてた女の子だよね? わかった。着替えてから行くって伝えといて」
「わかりました。では、また後で」
恭しくお辞儀をしたユリスティナはそう言ってから、扉を閉めて、下に降りていった。
「……ねぇ……話聞いてた? 着替えたいんだけど……」
「聞いてたよ? それが?」
何故かそう言っても、その場を動こうとしない万里華を見て、優真は溜め息を吐いた。
「……いや、だからさ……恥ずかしいから、部屋から出てくれない?」
「恥ずかしいって、既に何から何まで見せあった仲じゃん。なんなら、着替えを手伝ってあげようか?」
「…………」
「あはは……冗談だって。だからそんなジト目で見ないでよ~。じゃあ優真、先に下りて待ってるから」
苦笑いでそう言った万里華も、ユリスティナ同様、下に降りていった。




