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条件が揃わないと最強になれない男は、保育士になりたかった!  作者: 鉄火市
21章:実習生、家族からの手紙を読む
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21-7


「この手記……どうしましょう……」

 シルヴィは一冊の手帳を手に持ち、それを読むかどうか悩んでいた。

「今日の帰りにバートラムさんが私にくれた手記、お母さんが私に残してくれたって言ってたらしいけど……やっぱり、恨み言の一つか二つ書いてあるのかな? ……開けるの怖いな……お母さんだって私がいなければ、死なずに済んだんだもんね……」

 シルヴィが意を決して開けようとした瞬間、廊下を駆ける足音が二つ聞こえてきて、開きかけた手記を勢いよく閉じた。

「ただいま~」

「「お帰りなさ~い!」」

「……もう、飛びかかってくるなって何度言ったら聞いてくれるんだ? もし受け止められなかったら怪我するぞ?」


 そんなやり取りが耳に入り、シルヴィは着けていたエプロンのポケットにその手記を入れて、3人の笑い声が聞こえる玄関に向かった。


 ◆ ◆ ◆


 俺は夕食を食べ終えた後、女神の部屋に入り、中にいた女神と肩揉みをしていた万里華に今日の件を伝えた。

 キョウ君やマヤとカヤの双子姉妹が負った深刻な精神的な問題とS級冒険者に昇格したことを、包み隠さず言った。


「3人の状態を神の力とかでなんとかしてやれないのか?」

「難しいっていうか無理な相談だよね~。そりゃあもちろん、治してあげたい気持ちは山々なんだけどさ~。別に手段を選ばないんであれば、魂を抜いたり、もっと恐怖を味わわせて精神的な負担に慣れさせたりとか、色々と方法はあるけど、そんなことを優真君は望んでないんだろ?」

 優真が悔しそうに頷くのを見て、女神は満足気に微笑んだ。

「という訳でこの話はおしまいだ。次はS級冒険者の件だね。まぁ、気をつけて。それ以外に君へ送れる言葉はないかな」

「えっ? どういう意味?」

「言ったろ? それ以外に送れる言葉はないんだ。君やミハエラが知らないこともあって、それが優真君にとって必ずしもプラスに働くとは限らないんだよ」

「要するに、神の口からは詳しいことを伝えられないということだな? 俺に教えたくても教えられないものが、S級冒険者にはあると」

 女神はその言葉に頷きも否定もしなかった。ただ、微笑むだけ。

「まぁ、下手なことさえしなけりゃ大丈夫だとは思うけどね」

 最後に不吉な言葉だけを残して、女神は優真を部屋から追い出した。


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