21-3
彼の発言に、優真は自分の耳を疑った。だが、彼の真剣な表情や周りの様子を見て、冗談の類いではないと思った。
「いきなりどうした? お前は第1部隊の隊長でーー」
「その第1部隊は自分が弱かったせいで壊滅しました!!」
いきなり声をあらげたキョウは、優真に対して「すいません」と謝り、後ろで椅子に座ったままの双子を見た。
「……後ろにいるカヤとマヤの二人も、一見すれば平常かもしれませんが、仲間を失ったショックで、マヤは喋らなくなってしまい、カヤも武器の類いを触れなくなってしまったのです。全部自分が未熟だったから……自分が優真様くらい強ければ、二人をあんな怖い目にあわせずに済んだんです!」
悔しそうに言った彼が、俺には悲しく思えてくる。
(きっと今の今まで自分を責めてたんだろうな……いや、これからも責め続けるんだろうな……)
本来であれば、『救世の使徒』に所属していない俺に彼を脱退させるかどうかの権限はない。だが俺は、彼らが信仰する子どもを司る女神の眷族、それも筆頭と呼ばれる子どもを司る女神に次ぐ権力者だ。そう思えば彼らが俺に選択を委ねるのもわからなくはなかった。
「……キョウ君はよくやってくれたよ。なにせ君のお陰で、カヤちゃんとマヤちゃんの二人は生き残れたんだ。ガイベラスとはちあわせてしまったのは、俺の目測が甘かったからだ。キョウ君のせいなんかじゃないよ。それでも辞めるというのなら、俺は止めない。……でも、これからどうするんだ?」
「ひとまず冒険者稼業に勤しみたいと思います。二人を養えるように、色んな仕事をこなしていこうと思っています」
「住むところはどうするんだ? 冒険者といえば遠くに行ったりするだろ?」
「わかってます。とりあえず、ここら辺でいいところを探してみようと思ってます」
「……あれ? 俺は他の地域に行ったりする時のことを聞いたんだが……もしかしてここを出ていくつもりなの?」
「……え? ええ、そのつもりですけど……」
「許さーーーーん!! 絶対に許さないからな! キョウ君!」
その発言に、この場にいた全員が驚いた表情をこちらに向けてきた。
「きゅ……急にどうしたんですか!?」
「お前は冒険者なめてんのか? 最初っからそんな簡単に金を稼げる訳無いだろ! 3人が食べる食料を確保するだけでも大変なんだ。家の分なんて新人冒険者が稼げる訳ないだろうが! そんな苦労することを、君達にさせるなんて俺は絶対に許さないね! 眷族としての命令権を使ってでも、許してやるもんか!」
初心者冒険者が受けられる依頼は決して少なくない。ただ、依頼内容は簡単なものばかりだったが、どうしても報酬が低くなる。
一人で生活するなら、何の問題もなかった。節約すれば1日を過ごせる報酬だからだ。……だが、3人でとなるとそうはいかない。




